LibrariEの可能性~電子図書館を活用した学校教育の未来(2)日本体育大学柏高等学校の事例

立命館大学教授 湯浅俊彦

日本体育大学柏高校では2016年2月よりトライアル、4月より契約による電子図書館サービス「LibrariE」を導入し、電子図書館「Nittaidai Kashiwa Digital Library」として電子書籍を提供することにより、生徒の学びに直結するさまざまな取り組みを行っています。

筆者は、学校図書館における電子図書館サービス導入実態調査のために同校を訪問し、沖田綾子司書から電子図書館の利用状況、授業との連携、図書館活用の変化について詳しく話を聞くことができました。

同校の17年度の生徒数は1400人弱。学校図書館であるメディアセンターは蔵書数3万3000冊余、視聴覚資料80点余で、1人10冊2週間の貸し出しサービスを行っています。

「Nittaidai――」のコンテンツ数は、18年3月時点で購入している商業コンテンツ900タイトル余、独自資料140タイトル余。選書は優先順に(1)小説(2)受験・資格検定(3)授業関連――の内訳となっています。紙媒体と同じ利用規定になっています。

重要なのは、利用者端末として全生徒がiPad mini、全職員がiPad proを携帯し、Wi-Fi環境が校舎内全域に提供されていることです。図書館に何台かのiPadが置かれているのではなく、全生徒が利用者端末を携帯し、Wi-Fi環境というインフラ整備によって、電子図書館の利用は「朝読」、休み時間、昼休みというように学校内にいる時間帯に多くなっているのです。

それでは、電子図書館サービスの導入で、紙媒体の図書館資料を提供していた図書館の利用者サービスがどう変わったのでしょうか。

日本体育大学柏高等学校の電子図書館ウェブサイト

特徴的な変化は次の3点だと筆者は感じました。

(1)大学センター入試の過去問や、進路指導部が発行している進路指導要綱である『未来を拓く』などが電子書籍化されたことで、その利用が顕著に増えたこと(2)授業との連携が増え、例えば洋書の多読を進めたい英語の先生からの要請でオックスフォード大学出版局の洋書タイトルが紙媒体だけでなく、電子版も相当数提供され、大学入試の変化にも対応し、実際に生徒に活用されていること(3)授業で図書館を使った調べ学習を行う場合、例えば、気になる国を選んでリポートを課す地理の授業では従来は紙媒体の「地球の歩き方」を使っていたが、今では主に電子版を使い、その貸し出し回数が増えて「ジャンル別貸出内訳」に反映していること。

もちろん電子図書館が提供するコンテンツのうち小説作品も数多く生徒に読まれているのですが、進路指導部の独自資料のような新しいタイプの電子書籍、あるいは紙媒体よりも簡便に使える英語の多読としての電子書籍や調べるための電子書籍の使われ方が目立ち、電子メディアを柔軟に使いこなす新たなリテラシーが、日本体育大学柏高等学校では生まれつつあるように思えたのです。