「困った子」は「困っている子」(5)学級環境を整える①

元東京都日野市立小学校長 京極澄子

学級を落ち着いた居心地のよい安心できる場所にするために五つの視点で環境を整えました。これは、「状況理解の悪さ」「見通しのなさへの不安」「関心のムラ」「不注意・多動」「二次障害」などの困難さにつながる子供の特性に対応したものです。学級環境を整えることは授業への参加を支える基盤といえます。 (1)場の構造化 教室では、迷わせたり、イライラさせたり、トラブルになったりしないように、見れば分かるようにします。清掃用具、提出物、ボールやごみ箱、子供の持ち物など全ての物の置き場を決めて整頓します。 (2)刺激量の調整 耳や目から入る情報に敏感な子は刺激量が多いと、疲れて集中を切らします。 そこで、授業中、黒板に集中できるよう、黒板周りの掲示物をカーテンで隠すなど視覚刺激を減らします。また、机や椅子の足にテニスボールをつけて音刺激を減らしたり、多くなりがちな教師の話を簡潔明瞭にしたりして、必要な情報をキャッチしやすくします。 (3)ルールの明確化 ルールが身に付かない子がいますが、それはルールがあいまいで理解できなかったり、忘れてしまったりするからかもしれません。「しっかり頑張って」では何をどう頑張ればよいか分かりません。ルールを具体的な合言葉にしたり、仕事の手順を写真や絵で掲示したり、自己評価できるようにチェック表を用意したりすると効果があります。 ルールを身に付けるためには、「ほめるサイクルをつくる」ことが有効です。先行条件(分かりやすい手がかり)を整え、行動を成功体験に導き、褒めるのです。 遠足で靴を脱いで遊具で遊ぶとき、シートの上に全員の靴を脱がせれば(先行条件)、帰った時すぐに靴が見つかり(成功体験)、褒められます。シートのアイデアのような先行条件を整えるのがプロの仕事です。 発達段階に応じて、この先行条件を徐々に外していけるように、日々の学校生活の中で工夫した指導を積み重ねます。