LibrariEの可能性~電子図書館を活用した学校教育の未来(4)人々の情報行動の変化と学校教育

立命館大学教授 湯浅俊彦

日本体育大学柏高校が電子図書館サービス「LibrariE」を導入した事例から、学校図書館司書が積極的にアクティブ・ラーニングを支援の意義が見えてきましたが、ここで重要なのは、学校教育と社会における人々の情報行動の変化をどのように位置付けるかということです。

結論から言えば、学校は社会におけるさまざまな変化とは別に、まるでタイムカプセルのように時代を超越して存在しているわけではなく、社会の動向と密接につながり、とりわけ今日ではICTスキルを学ぶ場でもあるということです。

2017年11月、横浜市内で開かれた図書館界最大のイベント「図書館総合展2017」において、筆者がコーディネーターとなり、フォーラム「LibrariE(ライブラリエ)がつくるこれからの電子図書館―学校図書館、大学図書館、公共図書館 現場からのレポート」が開催されました。主催は日本電子図書館サービスです。このフォーラムでは同高校の沖田綾子・司書教諭(現在は学校図書館司書)のほか、武庫川女子大学附属図書館の川崎安子・図書課長、あかし市民図書館の志水千尋・館長に登壇していただき、LibrariEが新たな利用者サービスをどのように作り出しているかを報告してもらいました。

沖田綾子氏講演「学校図書館とLibrariE」(図書館総合展「LibrariEがつくるこれからの電子図書館」フォーラム、2017年11月、横浜市内)

武庫川女子大学では、同年7月より学内や学生の自宅にあるパソコン、スマホ、タブレット端末を利用して、資格試験の関連書や文芸書のほか、ベストセラーや新刊も含む電子書籍の検索・貸出・閲覧・返却を行う実証実験を始めました。読書機会を増やすことと、紙の本の購買へのつながりを考えた取り組みが行われています。

あかし市民図書館は、図書館流通センターの電子図書館サービス「TRC-DL」を導入していました。16年10月に図書館流通センターと日本電子図書館サービスが資本提携し、LibrariEと統合したことから、電子図書館サービスの大きな課題であったコンテンツ数に進展がみられ、多くの市民に電子書籍が活用されています。

このように高校、大学、そして社会人という人々のライフサイクルの中で、「紙」と「電子」をうまく使い分けながら、いつでも著作物が利用できる環境を創出していくことがこれからの図書館には求められています。つまり、高校では電子書籍が使えたのに、大学では使えない。大学では使えたのに社会人になると使えないということがないように、電子書籍をシームレスに使える環境を整備し、それが人々の情報行動のインフラになっていく認識が重要なのです。

電子図書館サービスは著作物利用の活性化を通して学校と社会をつなぐ、まさに新たな知の還流構造を生み出しているのです。

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