世界の教育はいま~各国の教育ICT化から見えるもの(5)韓国 教育方法を劇的に変化させるデジタル教科書

武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部・上松恵理子准教授

韓国の学校体系は日本と同じ6-3-3制(小・中・高)である。大きく違う点は飛び級制度が導入されている点である。教育に対して非常に関心が高く、大学進学率も高い。

2010年に韓国では、「デジタル教科書常用化推進計画」が発表された。翌年には「スマート教育推進戦略」が発表され、教育方法を劇的に変化させるツールとしてデジタル教科書が学校で使われ始めた。当時から既に、デジタル教科書は学生用と教師用の電子著作物だと定義付けられていた。

デジタル教科書は、マルチメディアと統合し、インタラクティブな機能を目指している。100以上の教育用アプリを韓国政府傘下の機関であるKERIS(韓国教育学術情報院)が推奨しており、例えばSNSのような教育用アプリを日々授業で使っている学校もある。児童生徒の作品をそこにアップロードすることで、デジタルポートフォリオに使えるものもある。

小中高に取り入れられている給食制度でもアプリが活用されている。保護者は給食に関するお便りもアプリで確認し、子供がこれまで食べた給食のメニューをさかのぼって見ることもできる。

ICT支援員が全て現職の教員だったことに驚いた。ICTに関する研修を受けた教員が学校に戻り、研究授業のコーディネートや学習指導案のアドバイス、デジタル教材作成の手助けをし、効果的な授業の方法を模索する役割を担っている。
ICT化の効果を評価するための調査が実施され、その結果は教育白書としてオンラインで閲覧できるようになっている。

驚くほど変革のスピードが速く、実際、1年後に同じ小学校に訪れると、全く新しい教育方法でICT教育が行われているのを目の当たりにした。

さらに全国の学校で、NEISという公務の管理、生徒の情報・成績・学習履歴の管理を行う全国教育行政情報システムが使われている。日本の指導要録に当たる情報がクラウド上で管理され、入力・修正・閲覧できる。生徒会、部活の活動、作文までもが個々の履歴に入っている。

教育の情報化の進展に伴って、新たに発生する格差の解消を目指し、低所得層にはIT機器の購入支援だけでなく、インターネット通信費を支援している。スピード感を持った政策と情報をつかさどるため、独立したKERISのような機関がある。

日本にもKERISのような機関があれば、ICT教育のための教員養成が進んでいくのではないだろうか。