LibrariEの可能性~電子図書館を活用した学校教育の未来(5)関西創価中・高校「万葉図書館」の事例

立命館大学教授 湯浅俊彦

関西創価高校は2017年4月、関西地区の高校では初めて電子図書館サービス「LibrariE」を導入し、「Man’yo Digital Library」として1055人の生徒に電子書籍を提供しています。

筆者は、18年6月に関西創価中・高校「万葉図書館」の硲口浩美司書にインタビュー調査をお願いし、詳しい話を聞くことができました。

同高校のクラス編成は1~3学年でそれぞれ8クラス約45人ずつ、男女比はほぼ同率。同じ敷地内に中学校もあります。電子図書館サービスは現在、主に高校の生徒に提供されています。中・高校の図書館である「万葉図書館」は視聴覚資料を含む蔵書数約10万冊と充実し、閲覧席が1階80席、2階46席の計126席、PC台数30台、利用規定では1人5冊2週間の貸出サービスをしています。

「Man’yo Digital Library」のコンテンツ数は17年4月の導入時、約300タイトルでした。18年6月時点では購入している商業コンテンツが350タイトルに増え、独自資料も34タイトルになっています。独自資料の内訳は「生徒会誌」32点と「愛唱歌集」2点です。利用者端末については、Wi-Fi対応のHUAWEIのMediaPadを16年12月より高校2年生全員、17年4月から高校生全員が一人1台持っていますが、9割近くの生徒が学校からの貸与を選択しています。

今回のインタビュー調査から、電子図書館サービスの導入で次のような変化が明らかになりました。

第一に、授業の中で図書の活用が積極的に行われていることです。例えば、高校1年生の英語の授業では、電子図書館サービスが紹介され、350タイトルのうち150タイトルが英語のコンテンツのため、生徒たちには多読用のペーパーバックが大人気です。国語の授業では、電子図書館の文学作品が使われています。
第二に、図書館が使いにくいと感じていた生徒たちに図書が利用されるようになったことです。リアルな図書館である「万葉図書館」の開館は午後5時半までです。クラブ活動で図書館に来ることが困難な生徒たちもいます。そこで野球部の監督が電子図書館の活用を推薦するなどして、「身体を鍛える」テーマに沿った電子書籍を生徒が借りるようにもなっているのです。

第三に、生徒たちが一日の生活の中で自由に図書を利用できるようになったことです。よく使われている利用時間帯をみると、自宅では20~21時ごろに電子図書館を利用して電子書籍を読み、学校では「朝読」や昼休みにも利用しています。

このように電子図書館サービスは、生徒の読書活動を推進し、支援する「万葉図書館」の活動の可能性を拡げるものとして定着しつつあると言えるでしょう。