「困った子」は「困っている子」(7)学びにくさから授業考える

元東京都日野市立小学校長 京極澄子

「分かるようになりたい、できるようになりたい。活躍したい」。これは全ての子供たちの願いです。でも、頑張ってもその願いがかなわなければ、意欲は低下し、学力も伸びません。

学びにくさのある子供たちにみられるバリアーには、読み、書き、計算の苦手さをはじめ、次のようなものがあります。

それは、▽理解のゆっくりさ▽学習の仕方の違い(話すのは得意だが書くのが苦手)▽イメージすることの苦手さ▽曖昧なものへの弱さ(狙いがはっきり示されない授業)▽複数並行作業の苦手さ(聞きながら書くなど同時に複数のことを行う)▽認知の偏り(視覚、聴覚)▽記憶の苦手さ▽定着の不安定さ▽抽象化の弱さ▽般化の弱さ――などのハードルです。

こうした学びにくさを想定し、授業を工夫します。例えば、「聴覚による認知が苦手」なAさんは、先生の話が長くなるとあくびをしたり離席したりします。そんな場面では、実は他の子供も集中していません。もし、このとき、先生が写真を見せたらどうでしょう。Aさんも他の子も集中度が一気に上がります。視覚情報の提供が授業を分かりやすくします。

「理解のゆっくりさ」があるBさんは、話を一度聞いただけでは理解できません。そんな時、もう一度、みんなで伝え合う場が設定されればどうでしょう。友達とやりとりする中で徐々に理解をしていきます。他の子にとっても話したり聞いたりする活動の中で、理解がより深まり定着するはずです。

このように授業で起こる「学びにくさ」に注目して指導の工夫を重ねると、障害の有無にかかわらず、全ての子供たちに効果のある指導法が見えてきます。

日野市で実践してきたのは「スモールステップ化」「視覚化」「共有化」「焦点化」「展開の構造化」などの工夫です。

「スモールステップ化」は、目標に届くまで細かいステップを踏んで昇る方法です。技術の習得などで多く使われます。

全体のステップを初めに子供に提示し、見通しを持たせると効果的です。体育では多様な練習の場を用意し、自分の習得の度合いに応じた場を選んで練習します。抵抗感が少なく、意欲や達成感につながります。

多様な子供の実態に即して、多様な学びの場を保証することは、大切な工夫です。