世界の教育はいま~各国の教育ICT化から見えるもの(6)ドバイ 世界の高等教育の専門機関が集まる特区

武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部・上松恵理子准教授

ドバイはアラブ首長国連邦の中にある首長国の一つだ。国家予算の4分の1を教育に支出した年もあるほど、教育に力を入れている。公立であれば大学まで授業料は無料で、高3の女子の9割、男子の8割以上が高等教育へ進む。

政府が推進した「スマートラーニング」により、2017年までに全ての初等中等公立学校でタブレット端末などの1人1台の環境が整った。教師は全生徒とその保護者とネット上でコミュニケーションをとることで、授業参観や個人面談、保護者面談が全て無くなったそうだ。

原油算出量は、周辺の国と比べてごくわずかだ。それゆえ国策として経済を重視した。その結果、20年ほどで、砂漠の地にリトルマンハッタンと呼ばれるほどのビル群が立ち並び、世界中の企業が進出した。

広大な敷地には、多くの特区が設けられている。病院ばかりの「ヘルスケア・シティ」、マイクロソフトやIBMなどの企業がある「インターネット・シティ」、CNNやBBCなどのマスコミがある「メディア・シティ」、世界の高等教育の専門機関が集まる「アカデミック・シティ」、そして語学教育や職業訓練校のような教育施設と、それを利用するための宿泊施設がある「ナレッジ・パーク」などだ。

「アカデミック・シティ」には、法人税・所得税の半額免除など、海外の教育機関がドバイに来ることができるようなさまざまな優遇措置が設けられており、日本の大学にもたくさん来てほしいと言われた。

また、世界中から優秀な教育者や識者も集まっている。優秀な外国人講師を集めれば優秀な学生も集まるという理念から、教員住宅はまるで高級ホテルのような快適な造りだった。

この特区にいる学生は、例えば世界中の企業が集まる「メディア・シティ」に行き、実際に株を購入して学ぶ実践経済学の授業や、グループワークでプロジェクトを起こし、本物のビルを建てる建築学の授業を受けている。課題解決型教育がここまで実践中心に行われているのには驚いた。

アメリカン大学(American University in Dubai)のキャンパス内には、ここが砂漠の地にも関わらず緑が豊富にあった。日本人が海水を真水に変えるシステムを開発したので実現したという。地下鉄も日本企業が施工し、街行く車も日本車が多い。ドバイの発展の基には日本の技術があるのだ。

教育の面でも日本が世界の手本になるよう、最先端の教育システム構築が望まれる。

関連記事