LibrariEの可能性~電子図書館を活用した学校教育の未来(6)学校が電子書籍をプロデュースする

立命館大学教授 湯浅俊彦

関西創価高校は、将来、国際的に活躍できるグローバルリーダーの育成を図ることを目的とする「スーパーグローバルハイスクール」(SGH)の指定校に2015年に選出されました。「教科で習得した学びを課題解決に役立てている」との高い評価を得て、SGH56校の最高評価を獲得しています。

電子図書館サービスを導入した理由について、硲口浩美司書は「英語の資料をいつでもどこでも読むことができる」点を挙げます。英語の多読用資料、検定本(英検)、文学作品は特に生徒の利用が多いとのことでした。

プラン・インターナショナルが主催する国際的なコンクールで、次世代を担う中高生が、読書を通じて過酷な環境に置かれている女の子や女性たちの声を発信する機会となるよう開催される「夏休み読書感想文コンクール」(後援・文科省、外務省ほか)では、関西創価中学校の生徒たちが挑戦し、学校賞や個人の最優秀賞などで入賞しています。今後、その課題図書が電子書籍になっていれば大変便利なので、日本電子図書館サービスに相談してみたいと話していたのが印象的でした。

電子図書館サービスの黎明(れいめい)期には、出版社が電子化するタイトルは、紙媒体での売れ行きが落ちてしまった既刊本が多いのが実情でした。

ところが近年では、新刊発売とほぼ同時に電子書籍が刊行されるケースが増えてきました。利用者が出版社や電子書店に対し、電子化を要望する傾向もみられるようになってきました。いわば川上からほそぼそと供給されていた状況に対し、川下である利用者からの熱い要望が潮流として生まれ始めているのです。

一方、商業的な出版コンテンツだけでなく、関西創価高校の場合は、18年7月に「読書のススメ」コーナーとして、図書案内「図書館通信」のデジタル冊子、夏休みの推薦図書を先生方が紹介する「夏イチ本」デジタル冊子をそれぞれ制作し、「Man’yo Digital Library」にアップロードしています。

「電子図書館サービス」の導入は、決して、紙の本を電子化して読むことにとどまりません。

商業出版物や非商業出版物、図書と雑誌などの、長年私たちが慣れ親しんできた紙媒体を前提にした出版流通システムや出版メディアそのものを変革しました。学校教育の中で新しい知識情報基盤を構築し、生徒たちがそれを利用して新たな知見を生み出していくかプロセスに、学校が当事者として関わっていくことを示しています。

同校の電子図書館活用の試みは、これからも生徒主体の図書館サービスとして発展していくに違いありません。

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