「困った子」は「困っている子」(9)授業で重視したい焦点化と展開の構造化

元東京都日野市立小学校長 京極澄子

「焦点化」は目標や活動の範囲を絞り、思考が深まるようにすることです。教師は、多くのことを教えなければと考えて、子供が消化できないほどの内容を詰め込んでしまうことが多く、その結果、子供が何を学んだか自覚できないことになります。

狙いの設定は、単元の指導計画の位置付けを明確にし、子供に授業終了時にどうなっていればよいかのゴールを分からせることが基本です。

かつて拝見した中学校の授業は日露戦争を学ぶ内容でした。教師は、授業の導入で日本とロシアの戦力差の資料を、ロシアの部分を隠して提示。予想させながら比較しました。

全部の資料を見せた時、生徒から「なぜ、そんなに戦力差があるのに日本はロシアと戦争をしたのか」というつぶやきが生まれ、授業の狙いが提示されました。もちろん、それは教師が意図したものですが、子供の中から生まれた切実で具体的な疑問を狙いに焦点化することで、授業の取り組みが主体的になりました。

日野第三小学校では、狙いが設定しにくい国語の研究を続け、教材研究を通して狙いの焦点化に力を入れています。

次に、考えたいのは「展開の構造化」です。狙いが焦点化されても、授業展開が分かりにくいと子供の意欲や集中が途切れ、教師が何人かの子供と一問一答で展開し、引っ張る授業になりがちです。

日野市では、明星大学の小貫悟先生の指導で、導入の後を、展開①と②に分け、まとめにつなげる学習展開を試みています。

言い換えると、展開①で子供がアクティブに考えて山に登り、その山場を足場にして、展開②で本来の狙いの次の山を登るという方法です。

例えば、説明文の読みの授業では、展開①で、教材文の内容の理解、展開②で、読み方(論理)の追求となり、より深い学びに到達していきます。

この展開の中では、「あれ」と思わせるしかけが有効です。隠す、選択肢を作る、順序を変えるなどの仕掛けで、子供はアクティブに考えだします。

この「展開の構造化」の良さは、展開①②の活動を明確にできること、発問が絞られること、子供の集中が続くこと、まとめの評価が焦点化しやすいことなどが挙げられます。

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