LibrariEの可能性~電子図書館を活用した学校教育の未来(8)芝浦工業大附属中高校の事例

立命館大学教授 湯浅俊彦

芝浦工業大附属中高校は2017年4月、東京都江東区豊洲の新校舎設立に伴い、タブレット型PC「S-tab」を生徒、教職員全員が持っています。このデバイスを活用して電子図書館サービス「LibrariE」も導入することになりました。

筆者は、18年7月に同校を訪問し、大坪隆明校長、佐藤真也事務長、図書館を受託運営する紀伊國屋書店の担当者から詳しく話を聞くことができました。

同中高校は、18年4月1日時点で中学校13クラス509人、高校18クラス618人。(うち女子生徒は中高合わせて35人)という、理工系進学を目指す学校です。明るく開放感のある図書館には5万冊の蔵書があります。電子書籍だけでなく、新聞、百科事典のデータベースも導入され、調べ学習用のiPadも図書館に置かれています。

電子書籍導入時のコンテンツ数は118タイトル、同年6月時点では129タイトルで、全て商業コンテンツです。

利用されているジャンルは、①英語多読②小説③児童小説④漫画⑤旅行本⑥占い⑦天文学・宇宙科学⑧生物化学・一般生物学⑨心理学⑩料理本――の順になっています。

利用時間帯は、①自宅(午後9-10時)②放課後(午後4-5時)③朝(午前8-9時)④休み時間(午後2-3時)⑤昼休み(正午-午後1時)――の順です。

今回のインタビュー調査では、電子図書館サービスの導入により、次のような変化がもたらされていることが明らかになりました。

第一に、生徒が電子図書館サービスにログインする回数は午後6時以降の学外にいる時間帯が40%弱と高い数値を示しました。24時間利用できる利点が大きいようです。

第二に、返却期限日が来ると自動的に返却されるため、延滞や紛失の問題がなくなることです。人気の資料も予約者が期日通りに借りることができ、運営面での手間も少ないため利用者の利便性が高くなっています。

第三に、選書は原則として紙媒体資料の選書基準に従っていますが、紙媒体では積極的に購入していないコミックについても、電子版で名作のコミック版コンテンツを購入しており、人気の一つとなっています。これまで紙媒体で購入していた海外教育旅行の調べ学習のための旅行ガイドも、電子版で購入するようになりました。

このように電子図書館サービスの導入は、紙の本を駆逐してしまうのではなく、生徒たちが主体的に著作物を利用する新しい方法を生み出しているように思えるのです。

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