LibrariEの可能性~電子図書館を活用した学校教育の未来(9)電子図書館サービス導入校から学ぶ

立命館大学教授 湯浅俊彦

日本の学校図書館における電子図書館サービスの現況について、「LibrariE」を導入している日本体育大学柏高校、関西創価中・高校、芝浦工業大学附属中高校の事例を挙げて、検証してきました。これらの取り組みから学ぶことは次の3点です。

第一に、最も重要なのは、学校としてICTを教育に積極的に活用しようという意欲があること。その上で、電子図書館サービスを導入する意義を明確にし、それを校内で共有していることです。第二に、同じ電子図書館サービスを導入していても利用方法はそれぞれ特色がある点。共通するのは図書館司書と教師が連携し、授業や課外学習に役立つ利用方法をそれぞれの学校に合った方法で考えること。第三は、従来の図書・雑誌を単に電子化するだけではなく、生徒がいつでもどこでも利用できる新たな情報資源として電子書籍を捉え、生徒が主体的に学習するツールとして活用していることです。

ここで強調したいのは、学校での図書館司書の役割が変化していることです。例えば、日体大柏高校の図書館司書が積極的に行っている電子図書館トップページの短い周期の更新などは、これまでの紙媒体主流の学校図書館司書にないICTスキルが必要なことを物語っています。

関西創価中高校の「万葉図書館」は「図書館通信」や夏休みの推薦図書を先生方が紹介する「夏イチ本」を電子書籍化して電子図書館にアップロードしています。図書館資料の購入や契約だけでなく、学校独自のコンテンツをプロデュースすることも電子図書館時代に学校図書館司書が担う新しい役割と言えるでしょう。

一方、芝浦工大附属中高校では、図書館運営を紀伊國屋書店に委託することで、紀伊國屋書店ICT営業本部電子書籍営業部の全面的なバックアップが期待できる環境を整備しています。

このように電子図書館の円滑な運営に当たり、ただシステムを導入すれば成果が得られるものではありません。利用者の生徒が実際に活用できる状況を作り出すことを第一の目的にするのが重要なのです。予算がない、人材がいないのを理由に電子図書館サービスの導入をためらうのは本末転倒です。

文科省は「教育の情報化加速化プラン~ICTを活用した『次世代の学校・地域』の創生」(2016年7月29日文科大臣決定)を策定しています。そこでは「現代社会において身の回りのものにICTが活用されていたり、日々の情報収集やコミュニケーション、生活上の必要な手続きなど、日常生活における営みをICTを通じて行ったりすることが当たり前となっている中で子供たちにはICTを受け身で捉えるのではなく、手段として積極的に活用していくことが求められている」とICT活用を位置付けています。

学校教育に電子図書館を活用することは、もはや必須と言ってもよいでしょう。