部活動の在り方を問い直す2 (1)部活動の転換を目指して

日本大学アメリカンフットボール部の、いわゆる悪質タックル問題は、スポーツの問題と同時に部活動の問題でもある。大学にとどまらず指導者による高圧的で理不尽な指導は、中学校や高校の運動部でもあり、吹奏楽部などの一部の文化部でも聞かれる話だからである。

では、なぜそのような指導が常態化するのかといえば、拙著「部活動の不思議さを語り合おう」(ひつじ書房刊)でも指摘しているが、勝利至上主義には「軍隊の論理」が入り込む余地があるからだ。

軍隊の論理とは、▽上官の命令には絶対服従で反対意見は決して許されない▽ヒエラルキー下での統率を重視する▽自己犠牲をいとわず集団の目的に寄与することが過度に求められる▽故に同調圧力が強く働くことを美徳にする――というものである。

勝つための精神主義的な価値観により、強固な支配関係が存立する閉じた小社会である。大学の運動部でしばしば聞かれる「4年神様、3年貴族、2年平民、1年奴隷」という比喩が象徴的である。

今後も学校教育で部活動を維持するのならば、教育機関としてふさわしい方法に転換し、勝利至上主義から脱却する必要がある。今こそ部活動の内容や方法、在り方について、根本的な改革が必要である。

もはや昭和のスポ根が通用する時代ではない。これからの時代は、トップアスリートは当たり前になっているスポーツ医・科学によるトレーニングを基盤にした部活動に転換するべきだろう。

その部活動改革の議論は、筆者が「部活動改革元年」と呼ぶ 2016 年以降から中学校で話題が先行してきた。教員の過重負担や働き方改革など、問題点が多く取り上げられ、運動部の話題が多いのが特徴である。しかし、それでは不十分である。

私は、部活動の在り方を①中学校だけでなく小・高校や大学の部活動②教員の働き方と生徒の成長・発達③部活動の問題点や短所と教育的意義や長所④運動部と文化部の両面――の観点で考察が必要だと主張したい。そのためには部活動に関係する多様な人々が多角的に分析し、考察する必要がある。

昨年12月に設立した日本部活動学会には、すでに約200人の会員がおり、研究者や実践者、保護者、市民によって部活動を軸にした研究と実践の往還が始まったところだ。

本連載では、日本部活動学会の役員が、それぞれの視点から論考する。

(日本部活動学会会長・学習院大学教授 長沼豊)