部活動の在り方を問い直す2 (5)文化部活動の課題


部活動での生徒の長時間練習や教員の過重労働がメディアで取り上げられるようになった。いずれも議論の中心は運動部活動の話題である。今回は文化部活動を運動部と対比し、現役教師の視点から考察する。

運動部と文化部の違いの一つに競技人数がある。運動部は例えば、野球が9人、サッカーが11人と、試合に出場できる人数が限られている。レギュラーで活躍できない生徒は、「控え」になる。

それに対し文化部は、吹奏楽が55人(全日本吹奏楽コンクールA編成)、合唱が40人(NHK全国学校音楽コンクール)、演劇は人数制限なし、軽音楽は5人で複数バンドが大会出場可能といったように、大会出場に多くの人数が必要になる。演劇は、スタッフも全て在籍校の生徒でなければならない。

文化部は、人数がある程度そろわなければ大会に出場することができない。言い換えれば全員がレギュラーで、運動部と比べて多くの生徒に活躍の場がある。

一方で、欠員が生じると問題も起こる。吹奏楽部は特定の楽器の担当奏者が1人だけの場合もある。

その1人が欠席や退部すれば、楽曲全体が成り立たなくなる。生徒の部活動の強制加入や退部の自由がない弊害は、このような点から生じていると考えられる。

大会のシステムも異なる。運動部は試合で全国優勝する1校以外は必ず負ける運命にある。大会は競技ごとに主催者(高体連や高野連)が定めたルールがあり、それにのっとって勝敗が決定する。

文化部には、一部を除き勝敗がない。上位大会への進出を決めるのは審査員による審査である。

全日本吹奏楽コンクールの場合は、木管楽器、金管楽器、打楽器の各奏者と指揮者の9人で構成される。招かれる審査員は、音楽大学教員、プロオーケストラ奏者であることが多い。審査項目は技術と表現だけで、各審査員がそれぞれの項目を数値で評価する。審査基準は詳細に決められていない。演劇の審査基準はさらに曖昧だ。

文化活動や芸術は、表現を目的にしているはず。しかし、コンクールが存在する以上、誰でも上位大会に「勝ち進みたい」と思う。

運動部はスポーツ医科学の研究が進み、休養を取ることで競技パフォーマンスが向上すると立証されている。しかし、文化部でそのような研究は進んでおらず、スポーツと異なり何時間でも練習することが可能である。

文化部の在り方を巡っては、こうした複雑な課題が潜んでおり、看過できない問題である。

(私立高校教諭、学習院大学大学院人文科学研究科教育学専攻博士前期課程・田村基成)