部活動の在り方を問い直す2 (6)伝統文化を指導する際の課題

学校の正課外活動の指導者の在り方に関しては、主に運動部の問題として取り上げられてきたように見受けられる。

スポーツ庁の2016年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」によれば、全国の中学校で、男子8割、女子6割が運動部に参加しているのに対し、文化部は男子の1割、女子の3割にとどまっている現状がある。この差が問題の発生や一般からの注目度合いに関係していると推察できる。

「文化部指導者の在り方に関する問題」の本質的な恐ろしさが、実はここに潜んでいる。なぜなら、文化部のこの「一般的に注目されにくい状況」が「指導者の問題が問題として関係者に認識されない」構造を育む可能性を持つからである。

これを筆者が専門とする「日本の伝統文化」に関する部活動を手掛かりに考察してみよう。

日本の伝統文化の多くは、指導者からの教導で学習者に継承される形態をとる。伝承技芸では、稽古を指導する「師匠」と指導を受ける「弟子」の関係性が指導者と学習者の間に存在する。

師匠は、指導時に「見て覚えよ」「芸を盗め」とだけ言い、説明を省くことがままある。言語化になじまない本質が流儀やその技芸に存在するからである。

学校教育での伝統文化に関する部活動は、指導者によってどのような指導がなされているだろうか。

流儀の思想や工夫に現れる本質を、児童生徒の発達や学校の教育目標に応じてかみ砕き、なじまないながらも、必死に言語化して指導しているだろうか。

単に「見て覚えよ」とだけ指示する一般の教場(稽古場)と同様の指導技法を用いようとしてはいないだろうか。

手順や型だけを反復練習させ、指導者の型通りに表現することが目的になってはいないか。

礼儀や作法を児童生徒に説くのならば、その意味や理由、本質を技芸でどう指導しているのか。

また、学校の道徳教育とどう関連させようとしているのかが問われる。伝承技芸の知識に乏しい児童生徒や教員、保護者を相手に、学校でも単なる「お師匠さん」としての「お稽古」をしてはいないだろうか。

伝統文化を部活動で伝えることにも、これまで議論されてこなかった問題が散見されるのである。

(岐阜大学大学院准教授、小笠原流礼法総師範・柴崎直人)