部活動の在り方を問い直す2 (7)10代が奏でる音楽を大人が守ろう

普門館を目指す――。全日本吹奏楽コンクールが、かつて東京都杉並区の普門館で行われていた頃は、野球部が甲子園を目指すように、多くの吹奏楽部が普門館での演奏を目標にした。年間を通じて、大小さまざまなコンクールがある。合唱なども同様だ。これらのコンクールに勝つのを目標に、日々練習に励んでいる生徒は多いだろう。

コンクール以外にも、音楽系部活動が関係する対外行事は多い。運動部の応援演奏、地域の小学校の運動会での入場行進、保育所の音楽会、公共施設や商業施設でのイベント出演など、これらは私の母校(公立中・高)のウェブサイトに載っていたものだ。集客が見込めるからだろうか、お盆休みも行事が入っている。部活動の「自主公演」もある。これらの行事に向けた準備も必要だ。

公演やコンクールの当日は楽器の運搬も必要なことが多い。特に大型楽器の運搬は、短距離でも専門業者に依頼しなければならず費用もかさむ。搬出入には、業者だけでなく、生徒や教員の立ち会いも必要である上に、スケジュールや予算の都合で早朝・深夜になることもある。その他の楽器も精密であるだけに運搬には気を使う。人前で演奏する行為は有意義だが、軽くはない負担も伴う。

強調しておきたいのは、演奏するのは10代の生徒であることだ。私のような職業音楽家ではない。譜面を読めば楽曲が想像できるので「音取り」練習を必要としないわれわれと、基礎力に乏しく、読譜だけでも大変な負担になる多くの生徒とは、消化できる量も質も大きく異なる。

もちろん、現場の努力として、身体保護、生涯活動への接続の観点から、練習内容の精選は必須だ。ジェットエンジン並みの音量を伴う楽器練習は長時間やるべきではない。楽器を保持する姿勢も成長期の生徒には無理な負荷を掛けることもある。「省力化」と「怠けている」は別である。

同時に、地域や連盟ぐるみでの活動の精選も必要だ。県教委が行う吹奏楽祭と音楽祭が1週間のうちに連続している例も知っているが、統合できないのだろうか。行事も、10代の生徒を職業音楽家の代替として招いているのならば考え直す必要がある。これまでの運営を改めずに活動時間短縮を求めるのは、社会における「ジタハラ」に等しい。現状を維持するのでは生徒の負担は減らせない。

美しい音楽は、健全な心身があってこそ初めて奏でることができる。10代の生徒たちが健全な生活を送れるように、大人が守るべきではないだろうか。

(音楽家・長野いつき)
関連記事