子供の眠りが危ない 睡眠負債を知ろう(4)学力、体力と睡眠の関係

雨晴クリニック副医院長 睡眠専門医 坪田 聡

睡眠不足は幼い子供にとって大きな問題だ。夜間の睡眠不足のため保育園などの昼寝の際に起こさないと目覚めない子供は、指さしが遅く、話せる言葉の数が少ないことが分かっている。さらに、就寝時刻が遅い12カ月児は言語理解とバイバイができない。起床時刻が遅い20カ月児は、積み木2個を積むことができない。睡眠不足や夜型の乳幼児は、精神や運動の発達が遅れる可能性がある。

睡眠と脳の発達は小学生にとっても深い関係がある。睡眠習慣と子供の学力の関係を調べると、成績上位の子供ほど早い時間に眠っていることが分かる。

小学校3~6年生の主要4科目のテストで、平均95点以上をとる成績上位者の41%は午後9時前に寝付き、12時以降に就寝する子供はいない。逆に、70点未満の成績下位者では9時前に眠る子供はおらず、20%が12時以降に寝付いている。

算数は睡眠時間と成績の関係が明らかだ。成績上位者は9時間以上眠っている子供が多いのに対して、成績下位者の多くは7時間未満の睡眠しかとっていないことが分かっている。国語や算数の応用問題が得意な子供は、夜ふかししないことも事実だ。

早く寝付いてぐっすり眠ると、朝は自分ですっきり目覚める。胃腸の調子も良いので朝食をしっかりとって排便してから登校する。日中も体調がよく、勉強に集中できて思考力もアップする。体も頭も活動的に過ごすので、夜になると早めに眠くなる。

逆に睡眠不足だと、朝は自分で起きることができず、自主性が育たない。朝食を食べられないので、日中の集中力や思考力が鈍り、学業成績が上がらない。体温も十分上がらず活動量が少ないため、糖質代謝のパターンが変わってエネルギーをためやすい体になり、太ってしまう。家の中での遊びを好み、夜までテレビやゲーム、インターネットに夢中だと、光の影響で眠気が減り、夜ふかしする悪循環に陥る。

睡眠と運動能力にも大きな関係がある。米国の大学バスケットボール部が行った研究結果では、学生が睡眠時間を延ばしたことでバスケットボールがうまくなった。

この実験では、大学生に10時間睡眠を取るよう指示した。すると、2カ月後にはダッシュのタイムが4%短くなり、フリースローとスリーポイントシュートの確率がそれぞれ9%高くなった。ぐっすり眠ると運動能力も伸びるのだ。

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