子供の眠りが危ない 睡眠負債を知ろう(5)メカニズムとリズム

雨晴クリニック副医院長 睡眠専門医 坪田 聡

眠気を決める二大要因は、「睡眠促進物質」と「体内時計」だ。

脳が働く時間と量に比例して睡眠促進物質が脳にたまる。睡眠促進物質には、プロスタグランディンやサイトカイン、神経ペプチドなど、現在40種類以上が知られている。日本は睡眠促進物質の研究をリードする国の一つだ。

睡眠促進物質が増え過ぎると脳が壊れてしまうので、睡眠促進物質の生産を止めて分解するため、脳の働きを停止して眠る必要がある。このメカニズムを「恒常性維持機構」と呼ぶ。徹夜明けのとき、深く長く眠るのは主にこのメカニズムによるものだ。

真っ暗な実験室で生活していても、人間はある程度、規則正しく眠ったり目覚めたりする。これは、体に組み込まれている体内時計のリズムに従い生きているからだ。体内時計は、脳の中枢時計と、体のあちこちにある末梢(まっしょう)時計がある。私たちの中枢時計の1日は24~25時間周期だ。

体内時計の周期に従って、夜に眠くなり、朝には自然と目覚めるリズムを「概日リズム」という。

概日とは「およそ1日」の意味。徹夜明けの朝に眠気が少し軽くなるのは、この概日リズムによるものだ。睡眠だけではなく、体温や血圧、脈拍、ホルモンの分泌、免疫なども概日リズムの影響を受けている。

睡眠中の脳波には、一定のリズムがある。寝付いてから次第に睡眠が深くなり、最も深くなった段階でしばらくすると、今度はだんだん浅くなってくる。多くの人の睡眠周期は、約1.5時間で、一晩に4~5回ほど繰り返される。

睡眠が浅くなった段階で目が覚めると、眠気が少なくスッキリ起きられる。そのため、寝付いてから6時間や7時間半、9時間たつころにアラームをセットすると、心地よく目覚められる。

睡眠には、「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の2種類がある。

ノンレム睡眠は、脳が休んでいる状態だ。脈拍数や血圧、呼吸数も減り、内臓も休んでいる。ノンレム睡眠中には、成長ホルモンが分泌されたり、病原菌やウイルスに対する抵抗力が強化されたりする。

レム睡眠は、ほぼ全身の筋肉がゆるみ身体は休んでいる状態だが、脳は起きているときと同じくらい盛んに活動している。レム睡眠中には夢を見たり、記憶を脳に定着させたりしている。眠り始めには少ないレム睡眠も、朝に近づくにつれて増え、睡眠周期の2~3割を占めるようになる。