子供の眠りが危ない 睡眠負債を知ろう(6)理想的な睡眠時間は

雨晴クリニック副医院長 睡眠専門医 坪田 聡

「うちの子供は毎日8時間眠っているから大丈夫」というのは間違いだ。昔から「寝る子は育つ」と言われているように、成長期の子供には、大人より長い時間の睡眠が必要だ。

全米睡眠財団(NSF)の年齢ごとに必要な睡眠時間によると▽幼児期1~3歳=12~14時間▽学童前期3~5歳=11~13時間▽学童期6~12歳=10~11時間▽中高生11~17歳=8.5~9.25時間――となっている。多くの人は、「こんなの無理」と思うかもしれない。私は子供向けの講演の際、小学生で10時間以上、中学生で9時間以上眠っている子供に手を挙げてもらっている。すると、全体の5%ほどの子の手が挙がる。後で校長に尋ねると、手を挙げた子供の多くは勉強ができるそうだ。

睡眠は量(時間)も大切だが、質も良くなければならない。良質で必要十分な時間の睡眠が取れていると、寝床に横になって目をつぶるとほどなく眠れ、夜中に目覚めることがない。朝は自分が起きたい時刻に自然と目が覚め、起きたときの気分も良い。すると、日中も午後のひと時を除いて眠気を感じない。これらを基準に、睡眠の良し悪しを確かめてみてほしい。

睡眠は、とても個性的なものだ。短時間睡眠でも元気に過ごせる子供もいれば、他の人より長い時間眠らないと調子が悪くなる子供もいる。今の睡眠で十分なのか、睡眠時間が足りていないかを知る方法を紹介しよう。

まず、寝室をできるだけ暗く静かな環境にして、休日に目覚ましをかけずに眠れるだけ眠る。いくら目をつぶってももう眠れない、となるまで眠る。その時の睡眠時間といつもの平日の睡眠時間の差が2時間以下ならば、睡眠不足はほとんどない。しかし、その差が3時間なら睡眠不足は1日につき1時間、4時間なら1日につき2時間、5時間なら1日につき3時間の睡眠の不足があることになる。

睡眠は、毎日きちんと必要十分な睡眠時間を取らなければいけないわけではない。1週間単位で、平日の睡眠不足を休日に補っても構わない。

例えば、金・土・日曜日の夜は1時間早く眠り、土・日曜日の朝に2時間遅く起きると、週末に7時間の睡眠負債を返せる。つまり、平日の睡眠時間が毎日1時間少なくても、1週間単位でみれば帳尻が合う。

とはいえ、睡眠負債がたまってくると1週間では返せなくなるので、平日の睡眠時間をきちんと確保することが基本である。また、平日と休日の起床時刻のずれが2時間を超えると、体内時計の働きが悪くなってしまう。それが気分にも影響を与えて、月曜日にうつ状態「ブルーマンデー」になることがあり、注意が必要である。

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