子供の読む力・言葉の力が伸びる! 文章を丸ごととらえるフレームリーディング(8)物語をとらえる~中学年編

筑波大学附属小学校教諭 青木 伸生

◆「ごんぎつね」の登場人物

物語の登場人物は、せりふを目印にして数える。日本全国の4年生が必ず読む教材文「ごんぎつね」の登場人物は何人かと、まず子供たちに尋ねてみる。そして、「この物語の一番初めに登場する人物に○を付けてください」と促す。

子供たちが印を付ける人物はすでにずれている。何人かの子供が「わたし」に○を付けた。「わたし」とは、この物語の語り手である。

本文には、「これは、わたしが小さいときに、村の茂平というおじいさんから聞いたお話です」と書かれている。茂平じいさんは、昔話として、語り手である「わたし」にごんぎつねの話を語ってくれたのだ。この二人は、ここから先の物語に登場しない。

最初の人物は「ごんぎつね」である。そして、ごんの他にせりふのある人物は4人しかいない。兵十、加助、いわし売り、弥助のおかみさんだけだ。

◆物語の結末

ごんは、森の中に穴を掘って住んでいる独りぼっちの小ぎつねである。村に出てきては、いたずらばかりしている。そのごんが、物語の最後に兵十に銃で撃たれてしまう。「死んでしまいました」とは書かれていないが、多くの読み手は、ごんは死んでしまうのだと読む。そう読ませるように、伏線がつながっているからだ。

さて、この物語の最後の場面に登場しているのは、兵十とごんの2人だけである。ごんは死んでいく。残されたのは兵十ただ一人だ。兵十がこの話を誰にもしなかったら、この話は誰にも伝わっていない。

ではなぜ、冒頭にあるように、時代を超えて茂平じいさんが知っていたのか。兵十が誰かに話したからに違いない。では誰に。可能性のある登場人物は、ごんと兵十の他には3人しかいない。当然、加助の存在が浮かび上がる。

◆加助と兵十の関係

加助と兵十はそんなに仲が良いのか。兵十にとって、ごんを撃ってしまったことは大きな失敗である。そのことを加助に話すほどの仲なのか。4と5の場面を読むとその答えが見えてくる。加助は兵十にとってかけがえのない存在である。そう読めるように伏線がちりばめられている。

フレームリーディングは、場面ごとに区切って読んでいたのでは見えてこない伏線を浮かび上がらせ、つなげることができる。加助は、兵十が撃ってしまった後に、きっと家を訪ねている。

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