子供の眠りが危ない 睡眠負債を知ろう(8)パジャマに着替え入眠儀式

雨晴クリニック副医院長 睡眠専門医 坪田 聡

どうして子供たちは、夜更かしするようになったのだろうか。夜遅くまで起きている理由を尋ねると、「なんとなく」や「家族が起きているから」という答えが多くを占める。子供は、夜になれば自然と眠るわけではない。誤解を恐れずに言うと、子供の夜型化の最大の原因は親の「しつけ不足」である。

小さな子供は、親の姿を見て育つ。親が遅くまで起きている家庭の子供は、就床時刻が遅い傾向がある。親の働き方やライフスタイルも多様化している。しかし、子供の健やかな成長を願うのなら、子供の入眠時間について家族全員で話し合う機会を持つのを、教師から保護者に提案して良いかもしれない。

なかなか眠ってくれない子供には、「入眠儀式(スリープセレモニー)」を試してみよう。

例えば、「歯磨き→おもちゃの片付け→パジャマに着替え→トイレ→ぬいぐるみにお休みと言う→家族にお休みを言う→本の読み聞かせ→明かりを消して添い寝」のように、眠るまでに決まったことをして、だんだん心の準備をする。家の中をあちこち移動するので、「お休みツアー」と呼ぶ人もいる。

パジャマを着るとよく眠れる。ある調査では、パジャマを着たときは、パジャマ以外の服を着たときに比べて寝付くまでの時間が約9分も短くなった。睡眠薬を飲んでも、寝付きまで平均して10~20分しか短くならないから、パジャマ効果はかなり大きいと言える。

夜中に目覚める回数もパジャマを着ると減る。パジャマ以外の服装で眠った場合は、夜中に目覚める回数が平均3.54回だったが、パジャマを着るようになると、平均3.01回しか目覚めず約15%も減った。

パジャマを選ぶときのポイントは、吸水性や速乾性が高いこと、柔軟性があること、表面が滑らかなことの三つである。

私たちは体温が下がると眠くなる。体温を効率よく下げるためには、パジャマが汗を素早く吸収して蒸発させる必要がある。日中に着るようなゴワゴワした素材の服では、皮膚の刺激が強くて心身がリラックスできず、よく眠れない。

さらに、睡眠中は10~30回ほど寝返りをする。パジャマの表面に凹凸があると、自然な寝返りが妨げられて熟睡できなくなってしまう。