進化する高校情報科 ―新学習指導要領の鍵を握る―(4)情報モラル教育の要点

神奈川県立茅ヶ崎西浜高校教諭 鎌田 高徳

今日の情報モラルの授業ではLINEトラブルをトーク事例で表現してみよう――。

私の情報モラルの授業では、生徒たちに身近なSNSのLINEを題材にして進めている。私の学校では、昨年度に高校1年生の99.8%がLINEを使用していた。LINEは高校生にとって高校生活に必要不可欠なインフラの一つと言える。しかし、高校生に必要不可欠なこのインフラはさまざまなトラブルを生み出す。高校1年生が入学し、遠足などの行事を終える5月ごろ、知り合いがほとんどいなかった1年生たちは、徐々に仲の良い友達グループを形成する。同時に、LINE上にもさまざまなグループを形成し、コミュニケーションを取るようになる。そんな中で必ず起こるのが、生徒間のSNSトラブルである。

皆さんは情報モラルの指導に自信があるでしょうか。私は教科情報の中で一番自信のない分野が、この情報モラルだ。なぜなら、私は教育の中で最も生徒が身に付けるのに時間のかかる能力が「態度」だと考えているからである。

情報モラルは、1年間を通して、何度も粘り強く授業の中に取り入れて指導しなくてはならない分野だと思う。そのため、新学習指導要領の「情報Ⅰ」の中でも、一つの単元ではなく、全体を通して指導するように位置付けられている。

この情報モラルの指導方法では、「こうした発言をしてはだめ」という、やってはいけないことを教える「だめだめ指導」や、情報モラルに関する事例コンテンツから学ぶ「事例学習」が挙げられる。果たしてこれらの指導だけで十分だろうか。

図1

私は生徒たちが「自分が相手にされたらだめなこと」や、SNS上で実際に見たことがある「トラブルの事例」を表現させることが重要ではないかと思う。

実際に生徒が作成したLINEトラブルの事例を見てほしい(図1)。「LINEトラブル 未読無視」のタイトルが付いた作品だが、生徒が作成した事例に細かいこだわりが見える。既読が付いてから返信があるまでの時間設定や、実際に生徒たちにも心当たりがある別なSNSのアカウントの情報発信が、生徒同士のトラブルのきっかけになった事例である。このように教師が事例を用意するのではく、生徒たちの手で作り上げることが重要である。

図2

次の事例の「怒ってんの? こいつ」というタイトルの画像を見てほしい(図2)。生徒は、このLINEのやりとりを表現してくれた。私は何も感じないが、人によっては「うん」といった短いメッセージで返信があると、相手が何か不愉快になっているのではないかと感じるようである。

人にされては嫌なことの「ちがい」を共有し、人によって相手からされて嫌な表現や言葉が「ちがう」ことを気付かせることが情報モラル教育では重要ではないかと感じている。