子供の読む力・言葉の力が伸びる! 文章を丸ごととらえるフレームリーディング(9)物語をとらえる~高学年編

筑波大学附属小学校教諭 青木 伸生

◆変容するもの

物語は変容をとらえることが一番重要である。物語の展開の中で、変わるのは「気持ち」だけとは限らない。

教材文「お手紙」では、がまくんの気持ちが変わる。はじめは手紙がもらえなくて悲しい気持ちでいるが、最後にはかえるくんから手紙がもらえることが分かって幸せな気分に変わる。ここで変わるのは、「気持ち」としてよいだろう。

教材文「ごんぎつね」の中で変わるのは、ごんの気持ちだけではない。ごんと兵十の関係が変わる話だともとらえられる。学年が上がって高学年になると、変わるものはもっと広がっていく。

教材文「わらぐつの中の神様」は、わらぐつなどに対する、中心人物マサエの、「ものの見方・考え方」が変わる話だととらえられる。教材文「大造じいさんとガン」も同様で、大造じいさんの、残雪に対する見方が変容する物語だと言うことができる。6年生で読む教材文「海の命」は、太一の生き方が変わる作品である。

このように、物語の中で変わるものは、学年の発達段階に応じてスケールアップしている。それを、どの作品も「この場面での人物の気持ちを想像しよう」の課題として読んでしまっては、作品の読みが浅くなる。

◆「海の命」を読む

中心人物の太一は、なぜ、父と漁のスタイルが全く違う与吉じいさに無理やり弟子入りしたのか。与吉じいさは、父が潜っていた瀬に毎日のように釣りに出かけていた。瀬をよく知る人物である。だからこそ弟子入りした。太一は、父の命を奪ったクエを、いつか自分が倒し、一人前の漁師、つまり父を超えるのだと心に誓っていた。

しかし、幼い頃に聞いた父の言葉「海のめぐみだからなあ」が、与吉じいさの「千匹に一匹でいい」と重なった。与吉じいさが亡くなった時、太一は、海に生きるものはやがて海に帰る存在なのだと悟ったに違いない。だからこそ、クエを目の前にしたとき、「おとう、ここにおられたのですか」という言葉が出てきたのだ。

◆伏線をつなぐフレームリーディング

フレームリーディングの手法で読むと、場面ごとに読むのではぶつ切りになってしまう伏線を、横につなぎ合わせて解釈を創り出すことができる。ここに作品を丸ごと読む意味と価値がある。

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