筑波大学附属小学校教諭 青木 伸生
◆物語のフレームを持つ
物語には大きく二つのフレームがある。「繰り返し」と「起承転結」というフレームである。「繰り返し」のフレームはさらに二つに分けられる。
一つは教材文「おおきなかぶ」のように、登場人物が増えたり、変わったりすることで場面が繰り返されるもの。もう一つは、昔話にある「三枚のおふだ」のように、登場人物は変わらずに、出来事が繰り返されるもの。
このようなフレームを持つことで、作品の構成をより的確に捉えることができるようになる。さらに、このフレームを使って物語の創作もできる。
◆物語のフレームライティング
2年生の子供が、繰り返しのフレームを使って次のような物語を書いた。
きょうは、弟のたん生日です。なっちゃんは、弟のはるくんのために、バースデーケーキを作ることを思いつきました。
(中略)
それからなっちゃんはケーキを作りはじめました。
できあがったケーキはまっ黒にこげてしまいました。
つぎはこげないようにオーブンの前に立っていました。
「こんどは上手にやけるといいなあ」となっちゃんはわくわくしていました。
ところが、いつの間にかねてしまいました。そしてまた、こげてしまいました。
三回目のケーキはうまくできました。生クリームをぬってトッピングをしはじめました。さいごのいちごをのせようとした時、ケーキをおとしてしまいました。
「もうやだ!」と言っていると、
「もう一どがんばろう」とお母さんが言いました。
四こめのケーキは一番うまくできました。
その夜、みんなではるくんのたん生日をおいわいしました。
「おねえちゃん、ありがとう」と、はるくんはなっちゃんにだきつきました。なっちゃんは、とてもしあわせな気持ちになりました。
◆フレームシンキングへ
リーディングとライティングを積み重ねていきながら、子供たちの思考力を高めたい。さらに、読み方のフレームは、やがて考え方のフレームにもつながっていく。大切なことは、まず全体を俯瞰(ふかん)することだ。ここから焦点化へと思考を絞り込んでいく。こうした思考のプロセスを意識すると国語の授業は大きく変わる。
(おわり)