進化する高校情報科 ―新学習指導要領の鍵を握る―(8)ネットワークを理解

神奈川県立茅ヶ崎西浜高校教諭 鎌田 高徳

スマホから友達にLINEでメッセージを送るとき、ネットワーク上ではどのようなデータが流れているだろうか――。

勤務校は2016、17年度「国立教育政策研究所 教育課程研究指定事業(共通教科情報)」の研究指定を受けていた。研究主題を「題材の工夫を通した意欲の向上、思考力・判断力・表現力の育成」と定めた。

生徒にとって「身近で、切実で、実行可能」な問題解決の題材を設定し、学習意欲を高めるよう、これまでも工夫してきた。この研究指定の中で、私が最も自信を持って紹介できる授業事例が、冒頭の生徒への問い掛けから始まる「LINEの仕組みをプログラミングで体験し、ネットワークの仕組みを理解する」授業である。

三つのデータの流れ

理由は、今後、情報科で重要視される「プログラミング」を、ネットワークの仕組みの理解のためのツールとして授業に取り入れた結果、情報科の指導で難しいネットワークの単元で、その仕組みを体験的に分かりやすく理解させることができたからだ。

授業は、LINEのトークメッセージの送受信のデータの流れを題材に、クライアントサーバシステムの仕組みを理解させることを狙いとしている。現行の学習指導要領にも明記されている同システムは、理解させるのが難しい。教科書や口頭による説明、ネットワーク図を書かせるだけでは、なかなか深い理解まで到達できない。

授業では、生徒の端末を▽送信役端末▽サーバ役端末▽受信役端末――と三つの役割に分け、それぞれの役割に合わせてプログラミングを実行。図のように以下の三つのデータの流れを通して体験的にクライアントサーバシステムの仕組みを理解させる。

①最初に送信役がサーバ役のIPアドレスを接続先に設定。トークメッセージをサーバに向けて送信するプログラミングを行い、メッセージ送信のプログラムを実行②サーバ役は送信役から送られてきたメッセージを確認するためのプログラミングを行い、サーバのメッセージの確認プログラムを実行③受信役がサーバ役のIPアドレスを接続先に設定。サーバに格納されたトークメッセージを受信するプログラミングを行い、メッセージ受信のプログラムを実行――。

この一連のプログラムを三人一組で実行し、データの流れを確認する。メッセージが送信されると、生徒たちからは歓声が上がった。一方で、次第にLINEのトークメッセージがサーバに全て集約されている事実に気付く。今まで自分と送信先の友達のスマホにしかデータがないと思っていた生徒たちは、自分たちのトークメッセージのデータは、全てサーバにあることを理解する。

授業後の生徒たちによる振り返りでは「サーバのセキュリティーの重要性に気付いた」といったコメントが多く上がり、サーバにデータが集められている意味まで深く理解できた生徒も見受けられた。プログラミングを取り入れた授業の効果は大きい。その反面、狙いを達成する手段としてプログラミングを使用しないと、学習者に何も残らない授業実践になる可能性があると感じる。