進化する高校情報科 ―新学習指導要領の鍵を握る―(9)授業で問題解決を

神奈川県立茅ヶ崎西浜高校教諭 鎌田 高徳

私は、教えない教育をしたい――。

私が大学時代に情報科の教員を目指して教職の授業を受けていたとき、恩師が授業の冒頭で発した言葉である。この言葉を聞いたとき、その意味の深さは理解できなかったものの、この教育方針にはとても共感した。なぜなら、私が小学校から大学まで受けてきた授業のほとんどが、子供が受け身になる授業だったからである。

こうした授業は、教員が知識という名の「水」を用意し、生徒の頭の中に注ぎ込む作業だ。そして、頭の中にどれくらいの量の水をためることができたかをテストで計測し、その評価で進路が決められてきた。

生徒中心の学びを進めよう

私は知識を注ぎ込む教師中心型の授業を否定するつもりはない。授業は教員の多様なアプローチがあってよい。ただ、私は幼少時から、授業を受けながらもっと自分の考えを発信したい、周りと考えを共有してみたいと思う学習者だった。

アクティブ・ラーニングに代表されるように、授業で生徒が受け身になるより、主体的に取り組む学びの方が、学習意欲も高くなり、教育効果が得られる。

私は授業を教師中心型の学習から生徒中心型へ、どうにかシフトチェンジできないかとこれまで模索してきたつもりだ。そうした中、私が目を付けたのが、問題解決型の授業である。

これまで紹介してきた授業実践は、基本的に問題解決の流れをベースにした取り組みである。教員側が答えを教えるのではなく、教員が生徒に「良いパスワードとは何か」あるいは「LINEのトラブルの原因を表現してみよう」などの題材を用意し、そこから生徒が問題を発見し、解決する学習活動をしてきた。

こうした問題解決型授業の成功の是非は、これまで述べてきたように題材の設定が全てだと私は考えている。生徒が、「『身近』で『切実』で『できる』」、問題解決の題材を設定すると、学習意欲は一気に向上する。

情報科こそ、問題解決型授業を行うべき理由が二つある。

一つ目は、情報化社会の進歩の速さだ。情報科の教員が授業で教えた知識や考え方が、ほんの数年で形骸化してしまうことも少なくない。情報科は、新しい知識や考え方を教員と生徒が一緒になって発見する気持ちを持って、授業を行うことが重要だ。

二つ目は、ICTが問題解決に最適なツールだという点である。問題解決の流れで、情報を収集、分析、発信するプロセスをICTがサポートしてくれる。情報科こそ、問題解決にICTを効果的に活用するべきである。

現行の学習指導要領で「問題解決」を取り上げているのは情報科だけだ。これほど、問題解決と学習内容の相性が良い教科は他にないだろう。

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