進化する高校情報科 ―新学習指導要領の鍵を握る―(10)情報社会の変化を楽しむ

神奈川県立茅ヶ崎西浜高校教諭 鎌田 高徳

教科「情報」のアイデンティティーとは何だろうか――。

最後に改めて皆さんと一緒に考えてみたいことは、教科「情報」は「どんなこと」を教える教科かということだ。ちなみに、この言葉は私が心から尊敬する神奈川県の情報科の教員から質問されたことである。

2020年度から、いよいよ小学校でプログラミング教育が必修化する。これは、日本人がプログラミングを学ぶことが当たり前になる瞬間でもある。プログラミングを学んできた小学生たちが中学生や高校生になった時、高校の情報科では何を学べばいいのだろうか。

無線技術を理解するための学習キット

新学習指導要領の「情報Ⅰ」や「情報Ⅱ」の内容であるプログラミングやデータサイエンスをしっかり教えることはもちろん重要だろう。ただ、私はプログラミングなどの内容だけでなく、新しいテクノロジーであるAI(人工知能)やIoT(Internet of Things)を題材にした授業もやるべきだと考える。

なぜなら、こうした技術は数年後の未来に私たちにとっては当たり前のテクノロジーになるからである。

皆さんは今から7年前、無料通信アプリ「LINE」が日本中で爆発的に普及した時のことを覚えているだろうか。今や、私たちの日常のインフラとも言えるこのアプリを、現行の学習指導要領が出た後に登場したテクノロジーだから扱わなくていいというわけにはいかない。

これまでのテクノロジーが形骸化し、新しいテクノロジーが突如として世の中を変化させることも含めて教えるのが情報科だ。そうした変化を扱う教科だから、情報科の教員は変化に対応する必要性に迫られて大変だ。だが、私はそれも面白いと心から思っている。

私は情報科のアイデンティティーは、「情報社会の変化」を学ぶことだと思っている。これほど、次から次へと教員が新しいことを学ばなければならない教科は他に類を見ないだろう。

先日、ハードウエアとソフトウエアをつなぐ無線技術を生徒にどう学ばせるかを考えるため、別図の「Micro:bit」というプログラミング学習キットを学ぶワークショップに参加した。講師の説明を聞いて、分からない所はICTを活用し、Micro:bitの操作方法やプログラミングを調べ、楽しく学んだ。

その時、ふと、自分はなぜ楽しんでいるのだろうかと考えた。それはきっと講師にプログラミングのやり方を全て教わったからではなく、自分でプログラミングを試行錯誤し、分からない所は調べたからである。

新しいことを無理に教えられるのは苦痛だが、自ら学ぶのはとても楽しい。これからも教育や学びが大きく変わる状況を楽しみながら、情報科の授業を続けていけたらと思う。

(おわり)