学び続ける職員室―私たちは何のために職員室に集まるのか(3)対話量を増やす工夫

アソビジ代表 中川 綾

今回は、職員室でコミュニケーションの量を増やすため、実際に取り組まれている事例を紹介する。

宮城県石巻市立雄勝小・中学校は、震災後の統廃合に伴い、小中学校が一つの校舎となった。校長は小中学校を兼務し、職員室も小中一緒だ。統廃合と新校の開設という、子供たちだけでなく、大人も大変な時期が続いた。

そんな中、まずは先生同士のコミュニケーションの量を増やすことで関わりが増える職員室をつくろうとした教務主任がいた。校長の賛同も得て、毎回の職員会議の始まりに他愛ないおしゃべりの時間をとった。職員会議がスタートするときに、弊社が企画制作した「シャベリカ」というトークテーマが書かれたトランプカードを使用し、校長や教頭もおしゃべりに参加する。

最初の頃は「今日の会議は案件が多いからやらなくてもいいのでは」という声がたまにあったという。だが、教務主任は「大事なことなのでこれだけはやらせてください」と、にこやかに返したというから、やり抜く覚悟がうかがわれる。

ある時、職員会議の始まりにシャベリカをいつも使っていた教務主任が会議を欠席した。それでも、「あのカードどこいった」「教務主任の机にあるんじゃない」「あったあった」と当たり前のように「いつものおしゃべり」が始まったというのだ。他愛のないおしゃべりから会議をスタートすることが職員室の文化になった。それだけでなく、そんな意義を他の先生たちも感じてくれていた。教務主任は「うちの職員室、いい感じになってきましたよね」と、うれしそうにこのエピソードを私に教えてくれた。

こんな話もある。とある公立小学校の校内研究で、総合的学習の時間を異学年で進める実践に取り組んだときのことだ。研究を始めてみると、縦割り活動の意義は感じていたものの、教職員同士の関わりが重要なことに気が付いた。そこで、研究主任は就業時間内に自由参加できる小さなおしゃべりの時間を設定した。職員室の片隅で、1冊の本をみんなで読んで感想を話したり、授業で起きたことや迷っていることを話したり、ほんの30分程度の時間を月に数回設定した。すると、授業があった日にも、自然と集まって話し合う文化が生まれた。

どちらの話もささいなことかもしれない。だが、地道に続けたことでコミュニケーションを取ることが「当たり前」になった良い例だ。

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