学び続ける職員室―私たちは何のために職員室に集まるのか(6)対話の質を高める3

—アソビジ代表 中川 綾

校内研究が進み、実践を通して各人が自立した意見を持ち始めたことで、主張が対立し始める。それまで「目的や目標」をじっくり話し合い、言語化してきた教職員グループは、1人の反対意見に対しても、正面から向き合うと決めていた。根底では思いがつながっている実感があったからであろう。お題目として掲げられた「目的や目標」ではなく、実践ときちんとつながり、意味のあるものになっていた。意見の相違は「反発する違い」ではなく、「より良いものをつくるための違い」となり、互いに受け入れることができた。

こうして話し合いが繰り返されていた時期は、反対意見を言った人だけでなく、みんな少なからず苦しい思いをしただろう。しかし同時に、ここで諦めてしまえば次のステップに進めないという感覚もあったのではないか。

結局、迷っていた6年生の担任教諭は、子供たちと対話することにした。「何のために学芸会をするのか」「そのためにどんな学芸会を目指すのか」。教職員が話し合ってきたのと同様に、目的と目標について子供たちにも投げ掛けた。

すると、「地域の人たちにも喜んでもらうため」「見てくれた人が感動してくれること」など、想像を超える意見がいくつも出てきた。そしてそれが、担任教諭の背中を押すことになる。「彼らは学芸会のことを真剣に考えていた。不安がっていたのは僕だけだったのかも」と思えたのだ。

職員室で起きることは、教室でも起きる。教室で起きることは、職員室でも起きる。「何のため」の視点にきちんと立ち戻ることができれば、対話の質も高まり、対立を乗り越えることができる。表現や行動の違いはあれど、私たちが目指しているのは同じところだという、互いを信じる気持ちが生まれてくるからだ。

結局、学芸会は異年齢グループでの活動となった。そうと決まれば、教員も子供たちも活動にまい進した。全ての人たちにとって初めての挑戦となった異例の学芸会は、子供たちだけでなく、学校に関わる保護者や地域の人たち、当然教職員にとっても素晴らしいものになったと聞いている。

6年生の担任教諭は私にこう言った。「今となっては、なぜあんなに反対したのか分からない。あのときの自分が恥ずかしい」。しかし、彼のあの主張があったからこそ、全体の質が高まったのだと他の教職員も言うことだろう。