高校英語教育と大学入試(6)表現のための文法指導

ココネ言語教育研究所所長、慶應義塾大学名誉教授 田中 茂範





文法は英語学習の主要な領域の一つである。だが、中学の段階で英語が苦手だと感じている生徒は過半数を超え、「文法が分からない」がその最たる理由である。文法指導には定番があり、多くの英語教師がその流儀を共有している。また「学習英文法」なるものも存在し、イラストや説明方法など多少の改訂はあるが、基本的にほぼ同じ内容のものが長い間使用されている。文法を解説する際の用語も教員間で共有されている。「現在完了」「不定詞」「分詞」などの用語は、教室でも当たり前のように使われている。

文法問題を解ける生徒が、英語のできる生徒と見なされる傾向もある。だが実は、英語力とはあまり関係がない。まして、現在完了や不定詞という用語を知っているだけでは、英語を使えるようにはならない。英文法に関する知識は豊かになっても、文法力は育たない。

本来、文法力とは自由に表現を生み出す力を指す。……

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