学び続ける職員室―私たちは何のために職員室に集まるのか(10)小さな一歩を踏み出そう

アソビジ代表 中川 綾

私たちはなぜ、職員室を居心地の良い場にしたいと思うのか。決して、自分だけが気持ちよく働きたいからではないだろう。繰り返しになるが、「職員室で起きることは教室でも起きるし、教室で起きることは職員室でも起きる」。そう考えると、職員室を居心地の良い場にすれば、教室の居心地も良くなり、学校全体の居心地の良さにもつながっていくだろう。

そのためにできることとして▽明確な目的・目標を共有する▽対話の量を増やす▽健全な対立を受け入れる▽作ることができるルールは自分たちで作る▽それぞれの役割に納得して働ける環境をつくる――を提案してきた。

これは「理想」だろうか。私はそうではないと思っている。一人一人の働き掛けは小さな一歩だとしても、本気でやろうとするかどうかで、大きな変化が起き得ることばかりだ。

これまで、職員室の取り組みについていくつかの事例を紹介してきた。彼らが前向きに取り組めたのは「校長のリーダーシップが良かった」「児童生徒の人数が少ないから」といった、特別な理由があったからではないと思う。私たちは学校をつくるために職員室に集まり、教室で子供らと共に学んでいる。学校全体を見通せる人が一人でも多く増えれば、可能性は広がるはずだ。私たちにできないことなど、本当は何もない。やるか、やらないか。それしかない。

連載3回目で紹介した雄勝小・中学校の校長に、連載原稿について確認した際、次のような一言をいただいた。「校長も教頭も一緒にたわいない会話に参加していることを加えていただけると、良さが一層伝わると思います」。これは「学校は管理職だけでつくるのではなく、関わる人みんなでつくる」という、学校への誇りが感じられる言葉だった。

時間がない、忙しい、仕事の偏りがある、どうしても教育観が合わない――など、誰もがいろいろな思いを抱えながら仕事している。だが、私たちは「何のために」「学校で」働いているのか、いま一度そこに立ち戻ってみてほしい。

誰かのせい、制度のせい、時間のせいにしようと思えばいくらでもできるが、今ある制度の中でもできることは多い。そのための時間も、つくろうとすればつくり出せる。まずは、職員室が学び続ける集団となれるよう、あなた自身ができる小さな一歩を踏み出してくれることを願っている。

(おわり)