授業で実践 学びのファシリテーション(2)ひょんなことから学校現場へ

ファシリテーター 青木 将幸

わが家の近くにおしゃべり好きな教員が住んでいる。ときどき一緒に晩ご飯を食べたり、お酒を飲んだりするのだが、まあ実によくしゃべる。日頃のうっぷんを晴らすかのように、クラスの子供たちの様子も、若い教員への容赦ないダメ出しも機関銃のごとく話し続ける。

仕事柄、人の話を聞くのは苦手ではないが「よくもまあ、ここまで話すなぁ」と感心していると、「青木さんがやっている、そのファシリテーション? とやらを、うちのクラスでもやってよ」というオーダーが来てしまった。

「話を聞いていると、何でも扱えるみたいじゃないの。国語や算数の授業も、ファシリテーションでできるんじゃないの?」と言う。そして「ちょうど、うちのクラスに算数が苦手な子がいるから、45分やってみない?」と持ち掛けられた。

筆者は、教員免許も持っていない「教育の素人」だ。会議のファシリテーションも、大人たちを対象とするケースが多かっただけに、「子供の話し合い」は未知数なところがあった。

しかし、おしゃべり教員とお酒の勢いというのは恐ろしいもので、つい「よし分かった。あなたの学校に行って、一度算数の授業を受け持たせてもらうよ」と返事してしまった。ちょうど、娘たちが小学校に通っていることもあって、学校現場をのぞいてみたい気持ちもあった。

だが、酔いが覚めた翌朝、ちょっとびびっている自分がいた。

「僕がやっているファシリテーションは、小学生にも通用するんだろうか?」

子供たちに対してどんな言葉を使うといいのか、果たして45分で収まるのか? いろいろ不安も湧いてきたが、「これも勉強」と思い直し、当日を迎えた。

小学校に着くとまず校長室に通され、多少の談笑のあと、授業を行う教室に入る。

用意していただいたのは、通常の教室とは違う「多目的室」のような部屋だった。椅子が軽くて動かしやすく、大きなホワイトボードが設置されている、小奇麗なフローリングの部屋だ。おそらく最近改装されたのだろう。

教室の後方には「ファシリテーターさんとやらが来て、これから何かやるらしい。見学してもいいらしいよ」と、手の空いた教員が見学に来ている。ビデオカメラを回している教員もいる。見られる、撮られるというのは、なかなか緊張感が高まるものだ。