いじめのエビデンス(7)いじめ対応はシステムで

子どもの発達科学研究所主席研究員 和久田 学

「駅前によくあるチェーン店」といって皆さんが思い浮かべるのは、牛丼やハンバーガーに代表されるファストフードではないだろうか。そうした店には統一されたシステムがあり、どの店舗に行っても一定レベルの商品、サービスが約束されている。

次に、ガイドブックに載るような有名店を想像してもらいたい。そのお店では、他で味わえないような商品、サービスが得られるだろう。しかし乱暴な言い方をすれば、店の質はそこで働く料理人の腕に掛かっている。その人が辞めれば、個人経営の店の質は落ちてしまう。料理人は弟子を取るかもしれないが、質の維持はそう簡単ではない。後継者として認められるまで、おそらく長期間の修行が必要になるだろう。

さて、いじめ対応について考えたい。日本の学校はチェーン店だろうか、それとも個人経営の店だろうか。

もちろんどちらと断言できるものではないが、少なくともチェーン店のようにはなっていない。具体的なマニュアルが必要と言われているし、それに相当するものが作成されてもいる。だが、それが十分でないのか徹底されていないのか分からないが、結局は個人に任されているのが実情ではないだろうか。

教育の場にマニュアルはふさわしくないとの意見があるのは承知している。しかし、倣うべき例がないために現実としてはかなり難しい状況に陥っているように思う。前回述べたとおり、いじめ対応は教師にとって大きなリスクをはらんでいる。個々人の判断に委ねれば、教師は無意識のうちに見て見ぬふりをしたり、対応を避けたりするようになりかねない。

だからこそ、個人に任せないシステムが必要になる。もっとも、いじめ防止対策推進法では、いじめに対する組織的対応を求めている。組織的対応、すなわち教師個人ではなく、システムとしての対応が重要としているのである。

チェーン店の例のように、いじめへの対応をシステム化すれば、個人の技能に左右されず、質の担保が可能になる。教育を商品やサービスと同じように捉えることへの是非はあるかもしれない。しかし、いじめ対応のように、絶対に間違ってはいけないものに関しては、システム化こそリスク管理の第一歩になり得るのだ。

具体的なマニュアルを含む、科学的根拠に基づいたシステムを開発できれば、子供、保護者、教師のいずれもが安心できる要素になるだろう。