授業で実践 学びのファシリテーション(4)ブーメランの法則

ファシリテーター 青木 将幸

会議や学びの場のみならず、人生の長きにわたって言えることだが、私たちの世界には「ブーメランの法則」のようなものがあると筆者は考える。「自分が発した言葉やエネルギーは、いずれそのまま自分に返ってくる」というものだ。

他者を力で押さえ付けてやろうと思っている人は、その反発をいずれ食らう。一方、他人に親切にしようと思って動く人は、他の人からも親切な何かが返ってくることが多い。他人のお困りごとに対して「自分のことじゃないから関係ないや!」という態度をとる人は、いざ自分が困ったときに誰からも助けてもらえなかったりする。

「お困りごと解決会議」で唯一掲げているルールは、「時間中は、その人のお困りごとを解決するため、全員、全力を尽くすこと」だ。お困りごとがどんなにささいな内容であれ、また低レベルなものと感じたとしても、ばかにせず、一生懸命に解決策を考えてあげる。そうすると自分の番が回ってきたときに、皆が一生懸命、わがことのように考えてくれるのだ。

小学生にそう話をすると、クラスの多くはぽかんとしていたが、中にはうなずいてくれる子もいた。直感的に「そういうものかもな」と思ってもらえるだけでもいい。

「じゃあみんな、この手順とルールでやってみてもいいかな? まず算数について、自分が困っていること、ちょっとよく分からないこと、難しいなと思うことをA4の紙に書いてみよう」と提案した。

実際に書いてもらう前に、少しだけ例示をする。「例えば『少数点の付いた割り算をしていると、こんがらがっちゃう』とか書くわけ。もし、そもそも『なんでこんなややこしい算数なんてことをやらないといけないのかが分からない』と思ったら、そう書いてもいいんだよ」と語り掛けた。

加えて「特に困っていない、算数は完璧! という人は『特に困っていない』って書いてもいい。その分、困っている人に時間をあげたらいいからね」とも伝えた。

このあたりの例示をどうするかで、出てくるものの幅が決まってくる。ファシリテーションをする上では、なかなか大事なところだ。真面目な例示だけでは、真面目な回答しか生まない。ちょっと外れたものも書ける幅の広い例示は、幅の広い発言を生む。これも「ブーメランの法則」どおりだ。