授業で実践 学びのファシリテーション(6)「アイスブレイク」の王道

ファシリテーター 青木 将幸

子供たちが書き終えたのを見計らって、皆に声を掛ける。

「では、それぞれが書いてくれた算数に関するお困りごとを、皆で解決していこう。この先は4人一組で話し合いをします。近くに座っている人と4人組をつくろう」と呼び掛けると、すぐさま仲良したちが集まっていくつかのグループができる。

「4人でじゃんけんをして、一番バッターを決めよう。大きな声で『じゃんけんぽーん』と言って、始めよう。勝った人は『やったー!』と声を出して喜んでもいいよ」と伝えると、一瞬にしてクラスのあちこちにじゃんけん大会の渦ができる。

われわれファシリテーターの世界では、初対面の人と出会ったときの独特の緊張感を「アイス」といい、それをほぐすための工夫を「アイスブレイク」と呼んでいる。

筆者のような見知らぬオジサンが教室にやってくれば、子どもたちの間にちょっとした緊張感が走るのは当然だ。前もってそれをほぐしておくと、スムーズに本題に入れることが多い。ビジネスのミーティングでも言えることだが、本題に入る前の雑談が上手な人ほど、商談をうまくまとめられる。

拙著『リラックスと集中を一瞬でつくる アイスブレイク ベスト50』(ほんの森出版)では、アイスブレイクや自己紹介の際の工夫を50種類紹介している。

中でも「じゃんけん」は、一つの章を割いて「アイスブレイクの王道」と紹介するほど使い勝手がよい。

体を動かす、声も出せる。日本人が、いや世界中の誰もが知っていて、説明が不要。よく知らない相手とでも、一瞬で盛り上がることができる唯一無二のアイテムであり、鉄板のアイスブレイクと言える。アイスブレイクをうまく使いこなしたい方は、まず、じゃんけんから入ってみてもいいだろう。

ファシリテーションにおいて肝要なのは「陰と陽」のバランスを取ることだ。あるいは「柔と剛」と言い換えてもいいし、「静と動」と捉えることもできる。「こちらが主導権を握る時間」と「参加者が主導権を握る時間」と考えてもよい。筆者の知る限り、腕のよいファシリテーターは、皆、このバランス感覚が優れている。

お困りごとを書いている間にクラス内が静かになったので、本題の「お困りごと解決会議」に入る前の準備体操として、少しほぐす時間を取った。

じゃんけんをして、声を出して、元気になったそのエネルギーを持って、いよいよお困りごとの解決に当たる。