逆境に負けない心 レジリエンスを身につける(6)発達に応じたアプローチ(中・高校生)

(一社)日本ポジティブ教育協会

中学・高校に入ると、学業や部活動に意欲的に取り組む生徒がいる一方で、それまで問題が見えなかった生徒が不調をきたすケースが少なくない。例えば、受験後に訪れる「燃え尽き症候群」はその一つだ。

気力や調子が出ないだけでなく、学校を欠席しがちになるなど、長期化すると日常生活に及ぼす影響も大きい。受験という経験は、個人が目標に向かう通過点であり、そのプロセスこそが重要であると意識できるよう、準備期間から支援したい。

2017年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果によると、不登校の小学生が約3万5千人だったのに対し、中学生は約10万9千人、在籍者数に占める割合は3.2%だった。約6割は前年度から継続して不登校の状態にあり、要因の上位には「不安」「無気力」「学校における人間関係」が挙げられている。

高校生になってからの不登校は学業不振や中途退学につながりやすく、その後の社会適応にも影響を及ぼす可能性が大きい。レジリエンスが「逆境を経験しても自分らしく立ち直る力」を指すことを鑑みると、その生徒の立場に立った状態理解を大前提としつつ、状況を多面的に把握し、長期的視点に立った援助策を検討する必要がある。自らの気持ちや考え方に向き合い、対人関係スキルなどを学ぶレジリエンス教育は、家族も含めた支援策として効果が期待できる。

一方で、青年期はまだ脳の発達過程にあり、負の情動性(感情)の高さや、報酬敏感性(欲しいものを手に入れようとする感度)の高さが特徴とされる。前者は不安や抑うつなど、内的な苦痛を感じるメンタルヘルス問題につながりやすい。

本人の意思ではコントロールできないほど、感情が偏ったり高ぶったりする状態が続くようであれば、専門家に相談するなど早期の対処が必要となる。後者は喫煙、飲酒、薬物、性問題行動など、自分の外部にある問題やリスク行動と関連を示す。報酬敏感性にはポジティブな側面もあり、独立心、探求心やモチベーションとも関連する。いずれにしても認知的成熟の途上にあるため、適切なモニタリングと適時の指導が重要である。

家庭や学校で感じる高いストレスは、青年の高反応性(外部の刺激に敏感)、リスク行動などへの衝動性につながることも指摘されている。それぞれの発達段階と特徴、環境要因やパーソナリティーといった個人の特性も視野に入れ、個々の発達的特徴がポジティブに機能するよう支援することが、レジリエンスの育成につながっていく。

(岐部智恵子)