【自己肯定感を育む11の方法(8)】気心の知れた親しい相手はいるか

MP人間科学研究所代表/心理学博士 榎本 博明
この連載の一覧

子どもたちの生活空間は、幼稚園や学校への通園・通学などで、家庭内から家庭外へと拡張していく。家庭の中にいないと安心して過ごせないようでは、外の世界にいても気持ちが落ち着かず、実際に外に出ていたとしても、気持ちの上では引きこもり気味になってしまう。

そんな気持ちが委縮した状態で、自己肯定感を育むのは難しい。ゆえに、外の世界にも心の居場所をつくることが、心の健全な発達のための重要な課題となる。

外の世界に心の居場所をつくるには、気心の知れた親しい友達が必要となる。ただし、親しい友達といっても、発達段階によってその関係性は違ってくる。

児童期には行動を共にし、一緒に遊べる友達が求められる。その意味で教師は、友達と一緒に遊べているか、孤立していないかを把握することが重要となる。そして、子どもの気持ちを学級につなぐような友達関係の形成を促進する働き掛けが求められる。

中学生くらいになると、子どもたちの目は自分の内面に向き始め、自己意識が高まっていく。自分の内面を見つめれば、心の中の不安に直面せざるを得ない。周りの友達を見ても、その内面まではうかがい知れないため、とても安定しているように感じられ、気持ちが委縮しがちである。

そんなときに求められるのは、単に一緒に行動できる友達ではなく、心の内面を共有できる友達である。自分の気になることも含めて率直に自己開示し合える友達である。

だが、そのような関係になると、教師が介入するのは難しい。できるのは、いつでも気軽に相談できるような雰囲気を醸し出すことである。

特にSNSが発達した今日、話した内容をみんなに拡散されたから友達に本音は言えなくなった、親しい友達にも本当に気になっていることは言えない、という者が非常に多い。

大学生でも、内面的なことは教員にしか話せないという者が結構いる。グループで話しに来るときは軽いノリで盛り上がるばかりなのに、個々のときには深刻な雰囲気で悩んでいることを相談してくる学生も少なくない。

そんな時代ゆえに教師としては、カウンセラー的な素養を身に付け、生徒が心を開けるようにする必要がある。外に心の居場所をつくるに当たって関門となるのは、学校に心の居場所をつくれるかどうかである。それによって、自己肯定感は大きく左右される。

この連載の一覧
関連記事