逆境に負けない心 レジリエンスを身につける(8)生きる力を育む心理教育②

(一社)日本ポジティブ教育協会

子供の心理的・社会的健康の増進を目指す教育実践活動「心理教育」の一環として、「レジリエンス教育」の授業実践が各地で行われるようになった。今回は、主に中高生を対象にこうした授業を行っている筆者が、その具体的な内容を紹介する。

実施しているのは、英国で開発された「SPARKレジリエンスプログラム」を日本の子供たち向けにローカライズしたものである。導入の「レジリエンスとは何か」を学ぶ授業から始まり、感情についての学習、ネガティブ感情の悪循環からの脱出方法へと進む。また、ネガティブな行動や結果の背後にある「ネガティブな捉え方(認知)」を再検討し、感情や行動を変化させていく方法も学んでいく。

ただ知識として教えるのではなく、自分ごととして考えさせるワークもふんだんに取り入れている。ネガティブな捉え方を自分の耳元でささやくオウムに例えて、劇仕立てでその扱い方を考えたりと、生徒たちが楽しく、具体的に学べる工夫をしている。あるいは、自分のソーシャルサポートをリストアップし、自分や友達の強みを発見するグループワークを行いながら、自分自身の「レジリエンスアルバム」を作成する授業もある。

授業の効果をみるために、授業前後に生徒たちの「レジリエンス」「自尊感情」「自己効力感」「抑うつ」を測定するアンケートを行っている。効果測定の結果は、総じて良い変化をみせる。とりわけ「自己効力感」は、これまでの取り組みの中で安定的に有意な上昇がみられている。

授業後の生徒からは、「自分の考え方の癖が分かり、自分を理解できた」(自己理解)、「自分らしさを大切にしていいんだと思えた」(自己肯定感の向上)、「いいところはより良く伸ばし、悪いところは考え方や見方を少し変えてみることで長所に変えられると学んだ」(自己マネジメントの養成)――といった感想が寄せられることが多い。

普段、生徒と関わっている教員らもその変化を実感している。教員からは「今までネガティブな感情の悪循環に陥っていた生徒が、そこから抜け出しやすくなった」「生徒がレジリエンスの知識を手に入れたことで、自分の中を掘り下げて問題の解決方法を見つけようとする力が付いた」という声が上がっている。

授業を通して、人生のあらゆる局面に自分自身でコミットする「生きる力」を子供たちに身に付けていってもらいたいと願っている。
(鈴木水季)