逆境に負けない心 レジリエンスを身につける(11)日々の授業の中で育む

(一社)日本ポジティブ教育協会

学校生活の大半は、各教科の学習で占められている。レジリエンスを育む重要性や必要性を理解したとしても、そのためだけに時間を取るのは難しいのが実情だ。

今回は、日々の授業の中でレジリエンスを育む方法を二つ例示する。

第一は「偉人のレジリエンス的教材化のススメ」である。学校の授業で使われる教科書には、歴史的な偉業を成し遂げた多くの人物が掲載されている。大抵は誰が何をしたのかという「客観的な史実」を教えることになる。もちろんそれも重要だが、レジリエンスを育む観点からは「人物像」に注目したい。

偉業を成し遂げるまでのプロセスで、その人物はどんな困難や逆境に直面し、どうやってそれらを乗り越えてきたのか。一連のストーリーを教材化するのだ。そうすれば、偉人の生涯からレジリエンスの極意を学ぶことができ、ロールモデルを見つけることにもつながる。

偉人の伝記などは、すでに学習マンガとして数多く出版されている。それらを参考にすれば、教材化の労力も軽減できるだろう。文学作品における登場人物も、取り扱い方次第では、レジリエンスを学ぶ教材として位置付けられる。

第二は「ポジティブ・フィードバックのススメ」である。学校教育はその性質上、どうしてもネガティブ・フィードバックが評価の基本になりがちだ。到達すべき基準と照らし合わせて、子供の実態を把握し続けるからである。例えば、テストで60点を取った場合、大抵「なぜ残りの40点が取れなかったのか」に注目する。そして原因分析を行い、今後の課題や対策を導き出す。

ここで大切なのは、「なぜ60点が取れたのか」にも同等の、あるいはそれ以上の注意を向けることだ。そのプロセスから成功要因を導き出し、それらを手掛かりにしながら、今後の挑戦内容を明確にしていく。

レジリエンスを育む上で重要なのは、何事にも挑戦しようとするマインドセットの形成である。評価においても「何にどこまで挑戦できたか」を、まずもって重視する必要がある。

教科学習を通じて、教科の専門的な知識のみならず、非認知的スキルも獲得しているという事実に、今後もっと注目していく必要があるだろう。

 日々の授業という場において、他者の人生からレジリエンスを学び、自分自身の成長に向けて失敗を恐れずに挑戦していく。そうした子供の挑戦を勇気付ける授業づくりが、今求められている。

(緩利誠)