主体的・対話的で深い学びを実現するパフォーマンス評価(3)社会科での本質的な問い

京都大学大学院教育学研究科教授 西岡 加名恵

今回は、社会科のパフォーマンス課題を紹介しよう。まず、社会科の包括的な「本質的な問い」としては、「地理的条件が人々の暮らしにどのように影響しているのか」「歴史的に見て、社会はどのような要因で変わっていくのか」「どのような政治や経済の仕組みが良いのか」といったものが想定できる。これらは、『パフォーマンス評価にどう取り組むか』(三藤あさみ共著、日本標準、2010年)にも記している。

例えば、中学校の地理的分野の場合、地理的条件と人々の暮らしをテーマに、特に産業の発展との関係を考えさせた課題として、次のような例がある。熊本大学教育学部附属中の小田修平教諭の実践である。

作品を練り直すために話し合う子供たち(熊本大学教育学部附属中の小田修平教諭の実践から)

「あなたは、ある自動車会社の海外事業展開部のチームの一員です。あなたの会社では、電気自動車(EVあるいはPHEV)の生産・販売において、海外進出を計画しています。このたび、あなたはどこの国に事業展開していくかを提案することになりました。産業の特徴、生産力や消費力、住みやすさ(自然環境、政治・経済、文化の状況、人口)、日本との結び付きなどの視点から、会社の利益はもちろんのこと、進出する相手国の持続的な発展、その国に進出するメリットとデメリットも踏まえて提案書を作成しなさい」

社会科は、暗記科目というイメージが付きまとう。だが、この課題に取り組めば、自分の選んだ国や地域にどのような地理的条件があり、それがどのように電気自動車の生産や販売、人々の暮らしに影響するのかを考えるよう促される。その中で、地理に関する知識や資料活用の技能も身に付いていく。

写真は、この課題の草稿を書き終えた子供たちが、内容をさらに練り直すため話し合っている場面である。「対話的な学び」を強調することに関しては、話し合いが行われていても内容が深まらない懸念が指摘されている。前述のようなパフォーマンス課題を用いれば、「本質的な問い」に焦点を合わせ、内容の理解を深めることが期待できるといえよう。

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