主体的・対話的で深い学びを実現するパフォーマンス評価(5)理科の課題で求める力

京都大学大学院教育学研究科教授 西岡 加名恵

今回は、理科のパフォーマンス課題について考えてみよう。理科の場合、自然の事物や現象の仕組みで説明を求める課題、身の回りの事物や現象の探究を求める課題などが開発されている。詳細は、石井英真氏との共編著『教科の「深い学び」を実現するパフォーマンス評価』(日本標準)を参照してほしい。

例えば、化学の分野では、「物質を識別するには、どうしたらよいだろうか」という包括的な「本質的な問い」に対応した課題が学校階梯(かいてい)を超えて繰り返し扱われる。中学校では次のような課題が実践された例がある。

「あなたは、学校の理科の実験助手の仕事に就いています。ある日、実験室の整理を頼まれ、薬品棚などを整理していると、ラベルのはがれた、黒い粉の入った瓶が出てきました。あなたは自分でその薬品が何かを調べてラベルを貼ることにしました。実験室にあるもので物質を調べる実験を考え、実験計画書を使って実際に行い、結果と考察を書きなさい。ただし、実験は安全に、かつできるだけ簡単な操作ですむように工夫しなさい」(井上典子教諭の実践。堀哲夫・西岡加名恵『授業と評価をデザインする 理科』、日本標準、2010年)

高校では、広島県立広島高校の福本洋二教諭が実践で次のような課題を示している。

課題「解熱剤の調査」に取り組む生徒たち(広島県立広島高校・福本洋二教諭の実践)

「あなたは製薬会社の研究員です。他社の解熱剤の有効成分と薬中に含まれる添加剤等を調べ、上司に報告することとなりました。各自(班)で実験を計画し、実施して報告してください」

従来ならば、実験をする際に教師が手順を示し、子供たちは正確かつ安全に手順をたどるプロセスがとられがちだった。だが、これらの課題では現実の科学者と同様に、子供たちにも目的に応じて手続きを創意工夫する力を求めている。

実験を計画・実施・報告するという課題に繰り返し取り組むことによって、「科学的な知識を用いて物質を識別する」「科学的な探究プロセスを設計する」といった科学的な「見方・考え方」の育成が期待できる。

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