主体的・対話的で深い学びを実現するパフォーマンス評価(9)ポートフォリオ活用のポイント

京都大学大学院教育学研究科教授 西岡 加名恵

新学習指導要領では、高校で「総合的な探究の時間」が導入されるなど、探究的な学習を重視する方針が示されている。前回紹介した入試改革の動向とも相まって、ポートフォリオの活用がますます求められるようになるだろう。

一方で、ポートフォリオは資料がたまるだけでうまく活用できないという声も聞かれる。そこで、ポートフォリオを用いる際に押さえておくポイントとして、次の3点を指摘しておこう。

第一は、学習者と教師の間で見通しを共有することである。「ポートフォリオをなぜ作るのか、意義は何か」「何を残すのか」「いつ、どのぐらいの期間をかけて作るのか」「どう活用するのか」といった点を共通理解した上で取り組み始めることが求められる。収める資料のサイズや量に合わせて、適切な容器も選んでおく。

ポートフォリオ検討会の様子(宮本浩子、西岡加名恵、世羅博昭著『総合と教科の確かな学力を育むポートフォリオ評価法 実践編』(日本標準)より)

第二に、蓄積した作品の編集機会を設けることである。資料を整理して目次を作り、「はじめに」と「おわりに」を書いて冊子にまとめるという作業はその一例だ。日常的に資料をためておくワーキング・ポートフォリオから、永久保存版のパーマネント・ポートフォリオに必要な資料だけを選択して移すという方法もある。整理する必然性が増すという点では、ポートフォリオを見せる機会をつくり、そのための準備をする形をとるのが望ましいだろう。

第三は、定期的なポートフォリオ検討会の実施である。ポートフォリオ検討会とは、学習者と教師、関係者がポートフォリオを用いて、到達点と課題、次の目標や見通しを確認する話し合いの場である(写真)。時には成果を披露する場にもなる。教師は検討会で「これまでに達成できたことは何?」「今、困っていることは?」といった問い掛けをし、学習者の言葉に耳を傾けながら対話する。

近年、電子化した資料を蓄積するeポートフォリオも普及し始めている。だが、ポートフォリオは単なるデータベースではない。まずは教育の目的に応じて、学習や指導の改善に向けた活用が求められる。成果資料の所有権は第一義的には学習者本人にある。本人の同意が得られる範囲で他者に開示されるべきことを、改めて確認しておく必要があるだろう。

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