学級問題を解決する エンカレッジシート(1)健康な学級づくりを目指す

北海道公立学校スクールカウンセラー 青沼 眞弓

学級は教師と生徒が共同する場であり、教師は多様な生徒の成長を願い、一年を通じて懸命に教育実践を重ねていく。

成長期の中学生は、仲間との関わりの中で相互に影響し合い、体験を重ねていく。学級集団においては良いこともあれば、いじめなどの問題が起こることもある。

学級内で問題が起こったとき、モラルや協力、所属意識、他者受容感、自己決定感が育つ民主的な学級集団であれば、生徒たちがそれを自分たちの問題として捉え、自主的に解決へ向けて行動していくだろう。そうした学級集団を育てるために「エンカレッジシート」の実践・開発を重ねてきた。

エンカレッジシート

エンカレッジシートとは、アドラー心理学の理論を具現化したもので、いじめや学級の問題解決法として現場の実践から発案し、実践・開発を重ねた日本初のオリジナル技法である。

学級の生徒に匿名で一斉に意見を書いてもらい、それを教師が回収し、全員分の意見をまとめて模造紙大の紙に掲示するというのが一連の取り組みだ。主に中学生を対象とし、学校生活の集団に影響する問題行動の全てに活用できる。

エンカレッジシートは教師が学級に直接何かを教えたり、伝えたりするものではない。学級の問題の状況を把握し指導することは必要だが、基本的に教師は生徒を信頼し、指示は出さない。生徒が自分で考え、互いに意見を伝え合うことを尊重する。

それにより、学級集団のつながりが増す。主体的で多様な生徒の意見交流の場をつくり、学級の問題に向かい合い、勇気づけによって所属意識を深められるようにする。より健康な学級へと回復していくのである。

本連載では、アドラー心理学が標榜(ひょうぼう)する民主的な志向に基づき、健康な学級づくりを目指すエンカレッジシートの内容や、実践方法とその活用事例を紹介していきたい。