発達障害を抱えた子の可能性を伸ばす指導(1)選択肢の多様化が重要

明蓬館高等学校校長 日野 公三

障害者は英語で“People with special needs”と呼ばれる。

スペシャルニーズを持つ子供たちの未来には、これまでになかったものを含めた選択肢が広がっていくべきだと私は考えている。過去や前例にとらわれた思考ばかりでは先細りになるばかりである。

支援の向こうには、「選択肢の多様化」がある。時代の進歩と発展に伴い、職業が次々となくなっていくといわれる中、職業や職域、新しいスキルを創造することがますます重要になっている。

一方、発達障害のある児童生徒は増加の一途をたどっている。高校年代の就学の選択肢は果たして広がっているのか、今後どうなっていくべきなのか、述べていきたい。

平成の世になって、わが国の特別支援教育は大きく前進したといわれる。小中学校でのアセスメントの実施、特別支援教育コーディネーターの配置、校内委員会の開催、個別支援計画の実施・巡回指導などが普及した。

中でも、通級指導教育(個々の障害の状態に応じた特別の指導)は増加傾向にある。障害者に対する就業支援制度など、国内でも障害者の周辺環境の整備や見直しが進んできている。

小中学校の通常学級の6.5%が発達障害の児童生徒とされる中、いまや97%の進学率を誇る高校でも特別な配慮が必要な生徒は多いといえる。しかし、義務教育以降の「学びたい」「福祉の対象になりたくない」という意思を持つ発達障害者への支援は、いまだ立ち遅れている現状にある。

発達障害児には中学校卒業後、いくつかの選択肢が存在する。公私立の高校の種類には全日制、定時制、通信制、特別支援学校の高等部などがある。

そのうち特別支援学校は障害者手帳を取得した生徒を対象としており、発達障害者だけを受け入れる高等部はない。従って発達障害のある生徒は、知的障害、肢体不自由、病弱な児童と一緒に通うことになる。

特別支援学校は基本的に基礎教科の勉強よりも障害者の就業支援に重点を置いていて、福祉ニーズを満たす職業訓練所としての意義が強い。

しかし、発達障害のある生徒の中には、中学時代に不登校経験を持つ生徒が少なくなく、「義務教育段階の未学習部分を学び直したい」「高校の教育課程に準拠した学習をしたい」という強い希望を持つ生徒がたくさんいる。学びたい生徒の受け皿がない、この課題については次回述べたい。


【プロフィール】

日野公三(ひの・こうぞう) 明蓬館高校校長兼SNEC総合センター長。2009年、明蓬館高校を創立、12年に校長に就任。13年、SNEC(スペシャルニーズ・エデュケーションセンター)を設立。高校段階では例のない特別支援教育と才能開発センターとして注目を集め、全国主要都市にSNECを開設。