18歳になる前に―考え、関わる社会の問題(1) 公共で育む主権者の資質・能力

東京都立高島高校教諭 大畑 方人

2018年3月に高校の新しい学習指導要領が告示され、公民科では必履修科目「公共」が新設された。

公共は、生徒たちが社会に参画する主体として自立することや、他者と協働してよりよい社会を形成することを目指す科目で、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱に沿って、次のような目標が示されている。

人間と社会の在り方についての見方・考え方を働かせ、現代の諸課題を追究したり解決したりする活動を通して、広い視野に立ち、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1)現代の諸課題を捉え考察し、選択・判断するための手掛かりとなる概念や理論について理解するとともに、諸資料から、倫理的主体などとして活動するために必要となる情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。

(2)現実社会の諸課題の解決に向けて、選択・判断の手掛かりとなる考え方や公共的な空間における基本的原理を活用して、事実を基に多面的・多角的に考察し公正に判断する力や、合意形成や社会参画を視野に入れながら構想したことを議論する力を養う。

(3)よりよい社会の実現を視野に、現代の諸課題を主体的に解決しようとする態度を養うとともに、多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養(かんよう)される、現代社会に生きる人間としての在り方生き方についての自覚や、公共的な空間に生き国民主権を担う公民として、自国を愛し、その平和と繁栄を図ることや、各国が相互に主権を尊重し、各国民が協力し合うことの大切さについての自覚などを深める。

これらの資質・能力は、総務省と文科省が作成した主権者教育の副教材「私たちが拓(ひら)く日本の未来」で示された国家・社会の形成者として求められる力である、

①論理的思考力(とりわけ根拠をもって主張し他者を説得する力)

②現実社会の諸課題について多面的・多角的に考察し公正に判断する力

③現実の諸課題を見いだし協働的に追究し解決(合意形成・意思決定)する力

④公共的な事柄に自ら参画しようとする意欲や態度――とも重なる部分が大きい。

このように新科目・公共は、「主権者教育の1丁目1番地」として「民主主義の担い手」を育成することが期待されているのである。


【プロフィール】

おおはた・まさと 東京都立高島高校主任教諭。「面白くて、ためになる」をモットーに、主権者教育や法教育に力を入れている。厚労省「労働法教育に関する調査研究等事業」協力者、NHK『昔話法廷』番組委員、日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)運営委員。著書に『授業LIVE 18歳からの政治参加』(清水書院、分担執筆)。