18歳になる前に―考え、関わる社会の問題(2) 授業デザインの「三つのC」

東京都立高島高校教諭 大畑 方人

これまでの公民科の授業は、しばしば言われるように、教師による「チョーク&トーク」が中心で、「受験のための知識」に偏ったものが多かった。そのような授業の在り方が、生徒たちを政治や社会から遠ざけ、関心を失わせてしまう一因になっていたのではないだろうか。

新科目「公共」では、同じ轍(てつ)を踏まないよう、社会を主体的に生きる実践力を育むことが求められる。ここでは、「公共」の授業をデザインする際に大切な「三つのC」について述べてみたい。

一つ目は、キャッチー(Catchy)な素材を扱うことである。従来の公民科教育では、政治的中立性を過度に意識するあまり、具体的な「生の政治」を扱うことを避ける傾向が強かった。

そのため、授業では政治や経済の仕組みに関する知識の習得にとどまり、対立する意見が生じ得る社会課題には触れてこなかった。公共では「現代の諸課題を主体的に解決しようとする態度を養う」という目標があり、そのためには生徒の興味を引きやすい論争的な課題を扱い、それらを多面的・多角的に考察させて議論する機会を設けることが大切である。

二つ目は、カジュアル(Casual)な対話のための「場づくり」である。

その際、参考になるのが「哲学対話」の七つのルール(①何を言ってもよい②人を否定しない③ただ聞いているだけでもよい④お互いに問い掛ける⑤自分の経験に即して話す⑥結論が出なくてもよい⑦分からなくなってもよい)である。このようなルールを設定し、普段着の言葉で対話を重ねることによって、生徒たちは安心して自分の意見を言えるようになり、他者の考えにも耳を傾けるようになる。

三つ目は、クール(Cool)な外部人材との連携である。新学習指導要領は「社会に開かれた教育課程」を基本方針として策定され、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を共有し、社会と連携・協働しながら、未来の創り手となるために必要な資質・能力を育む」ことを目指している。

筆者の授業でも、「政治を、わかりやすく」をモットーに活動する株式会社POTETO Mediaをはじめ、さまざまな外部組織による出前授業を取り入れている。各団体のメンバーは、いずれも生徒のロールモデルになるような魅力にあふれた学生や若者たちである。彼らと語り合う中で、生徒たちは社会に対する関心を高めていくのである。