学級問題を解決する エンカレッジシート(4)教師は干渉や指示をしない

北海道公立学校スクールカウンセラー 青沼 眞弓

エンカレッジシートの活用が学級にもたらした効果について、次のような報告がある。 ・掲示された言葉を真剣に読む生徒や、自分の書いた言葉と掲示された言葉について意見交換する生徒の姿があった。 ・中間層生徒の「学級を変えたい」気持ちの突破口になった。 ・学級のとんがった雰囲気が温かい雰囲気に変化した。 ・学級全体で互いに勇気づけることで、仲間意識が高まった。 ・学級の問題を相手の立場で考え、思いやる生徒が増えた。 ・しばらくして、新しい問題で再度実施したが、勇気づける言葉が増えた。学級問題の解決法として生徒に認められた。 エンカレッジシートは、学級の動向を調査・研究するためのアンケートや意識調査の類いではない。生徒が気兼ねなく本音で自分の意見を書き、学級全員の意見を共有するために、教師が一連の取り組みの過程で注意したい点が大きく二つある。 一つ目は、終始生徒に何かを教えようとか、させよう、変えようという思惑や指示をにじませてはいけない。生徒を信頼し、教師は全ての過程において干渉や指示をしない。生徒の自発的な動きや声が上がるのを温かく見守るのである。 また、生徒の学級問題への反応や自覚の格差、そして実施の狙いなどの質問に、教師の考えや意見を挟まず、指導展開例の教示を淡々と繰り返して進める。特に生徒の意見の結果には、教師の解説や評価、教訓を伝えたりはしない。ただ生徒が意見を発信する場を提供するのだ。 二つ目に、エンカレッジシートの実施を終えた際には、学級全体に向けて勇気づけをすることだ。教師が生徒を信頼し、肯定的な期待をし、生徒の貢献に感謝すること、生徒の努力や進歩に注目することは、学級の問題解決に向けて踏み出す勇気を育てる。教師は一人一人の生徒の肯定的な動きに気付いたとき、個別ではなく、学級全体に勇気づけを行うのがポイントだ。 勇気づけの例として、学級全体に向けて「〇〇さんが……」と呼名するのではなく、「掲示の前で意見交換をしていた」「学級の問題に真剣に取り組んでくれた。みんなに感謝している。ありがとう」というように、こんな事があったという事実のみと、生徒全員への感謝を伝えるようにする。 学級全体に向けた勇気づけは生徒の支えとなり、生徒同士がつながって勇気と自主性を導くのである。