18歳になる前に―考え、関わる社会の問題(5) 憲法の意義を学ぶ

東京都立高島高校教諭 大畑 方人

「公共」では、憲法の基本的な考え方を、大項目「A 公共の扉」の中項目「(3)公共的な空間における基本的原理」で扱う。導入では次のような会話文をペアで読ませ、憲法と法律の違いを理解させるとよい。

生徒: 最近、憲法改正の話題をよく耳にするけど、憲法って法律の一種ですか。

教師: いい質問だね。憲法と法律は、どちらも「法」ではあるけれど「誰に向けられたルールか」という点で性格が異なるものなんだ。まず、いろいろな法律で禁止されていることといったら、どんなことが思い浮かぶかな。

生徒: そうだなぁ。例えば、人のものを盗んだり暴力を振るったりすることとか。未成年者がたばこを吸ったりお酒を飲んだりするのも駄目です。

教師: 他にも、自転車の二人乗りの禁止や税金の徴収なども、法律で決められていることだよね。つまり法律というのは「〇〇をしてはいけません」「△△をしなさい」と、国家権力が国民に向けて定めたルールなんだ。

生徒: じゃあ、憲法は誰に向けられたルールですか。国民が守るものではないんですか。

教師: 今話したように、法律は国家権力が国民の行動を制限するものだよね。でも、国家が好き放題に国民の自由を制限してしまったら大変なことになるよね。例えば、総理大臣に対して批判的な発言をした人をそれだけの理由で逮捕したり、特定の思想や宗教を強制したりするなんてあり得ないでしょう。

生徒: そんな世の中になったら、独裁国家と同じですよ。

教師: そうだね。でも、権力は暴走する危険性を常に秘めている。これは、人類の歴史の教訓だね。19世紀の英国の歴史家であるジョン・アクトンは「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する」という格言を残しているよ。

生徒: だとすると、憲法はそういった権力の横暴を防ぐためにあるんですか。

教師: その通り。国家権力が暴走しないように縛りをかけるためのルール。それが憲法なんだ。もちろん、その目的は国民の自由や権利を守るためだよ。こうした、憲法に基づいて政治を行っていく考え方を立憲主義っていうんだよ。

生徒:そっか。じゃあ憲法というのは、権力が暴走したときに僕たちを守ってくれる強い味方なんですね。

―このように、生徒たちに分かりやすい言葉で憲法の本質を学ばせることで、憲法に対するハードルを下げることができるだろう。

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