18歳になる前に―考え、関わる社会の問題(6) 法の支配の原理を学ぶ

東京都立高島高校教諭 大畑 方人

新科目「公共」で「公共的な空間における基本的原理」を扱う際は、「思考実験など概念的な枠組みを用いて考察する活動を通して、個人と社会との関わりについて多面的・多角的に考察し、表現すること」としている。

そこで今回は、「法の支配」や「立憲主義」の原理を学ぶ授業を取り上げる。授業では、まず次のような架空の物語を読ませる。

「オセアン国」では、世襲制の国王が絶大な権力を握っていた。プヴォワール王は、①物を盗んだり暴力をふるったりしてはならない②国王が任命した親衛隊が違反者を取り締まる③もめ事が起こった場合は、どちらが悪いのか国王が判断する④国民は収入の10%を税金として納める⑤必要な公共施設は国王が判断し、国民に造らせる――などの法律を自ら定め、国民もその政治を支持していた。

ある年、プヴォワール王はスポーツに精通したラルクという男を補佐官にした。

国王はラルクの進言に従って、巨大スタジアムの建設に乗り出した。オセアン国は不況に苦しんでいたが、国王は費用をまかなうため税率を50%に引き上げた。

これに対して国民の不満が爆発し、宮殿前では連日、大規模なデモが繰り広げられた。

腹を立てたプヴォワール王は「国民は国王を批判してはならない」という新たな条文を制定して取り締まりを強化。国民は、国王の権力を縛るためのルールを自分たちの手で作る必要があると考えるようになった。

この後、オセアン国の政治で問題だと思う点をグループで話し合わせる。権力の横暴を防ぐにはどのようなルールが必要なのかも考えさせながら、「オセアン国憲法」として模造紙にまとめさせる。

こうしたグループワークを通じて、生徒たちは「憲法によって権力を縛る」立憲主義の本質を、主体的かつ協働的に学ぶことができる。

授業のまとめに、「憲法」の語源を紹介するとよい。

漢和辞典によれば、「憲」は「目の上にかぶせて、勝手な言動を押さえる枠」を表し、「法」は「池の中の島に珍獣を押し込めて、外に出られないようにしたさま」を示す。

憲法を指す英語の“constitution”の原義は、「共に(con)+組み立てる(stitute)」である。

この語源が示すように、憲法とは人々が主権者として「共に組み立てた」、珍獣(=権力の横暴)を押さえるための「枠」なのである。

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