学級問題を解決する エンカレッジシート(9)多様な意見を尊重する

北海道公立学校スクールカウンセラー 青沼 眞弓

学級は多様な「個」の集団である。エンカレッジシートの問いのまとめには生徒のさまざまな意見が集まり、中には予想外のものもある。

これまでの事例から、多様な意見を尊重した教師のコメントと、いじめ問題でシートを実施した教師の感想を紹介したい。

実施事例: テーマ「今、学級で協力できている?」

ある生徒が問い④の勇気づけに以下の英文を、問い③にはその訳文を記した。これらは、1992年地球サミットでカナダ在住の12歳の少女・セヴァン=スズキさんがスピーチした一部である。

If you can’t fix the environment, please stop breaking it !(中略)“we are all part of a big family.”

(どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください。「私たちは同じ大きな家族の一員です」)

筆者が担任に感想を求めると、他の生徒の意見も含めて次のように言った。「生徒は思っていることを本音で書いてくれたと思う。今回、生徒が互いの意見を伝え、学級を考える機会になった。英文は思いがけなかったが、テーマが『協力』なので、学級へのメッセージとして注目した。学級全体への勇気づけに、学級について考えてくれた。いろいろな意見があってよかった」。担任教師は実施後、学級の雰囲気が少し変わったと感じているそうだ。

エンカレッジシートでの生徒の多様な意見に対して、次のような教師らの感想もある。

・思いがけない意見や生徒の本音に考えさせられた。生徒の学級への思いを知り勇気づけられた。

・意見を面と向かって伝えられない生徒が多い中で、学級一人一人の思いや考えを共有できる最適なツールだと感じた。

・ネガティブな意見も全て掲示したが、生徒同士の勇気づけや関わりで、2回目に実施した際はネガティブな記述が減っていた。

いじめ問題でエンカレッジシートを活用した教師からは以下の感想が寄せられた。

・エンカレッジシートのまとめ意見を知った後、生徒が教師からの話を真剣に聞くようになった。

・学級の冷たく重い雰囲気が、互いの意見を知った後に温かく切り替わる瞬間を感じ、生徒の表情が明るくなった。

・生徒の意見から学級のモラルの判断基準が正しいことを認識した。

・いじめられた生徒に気持ちを共感的に伝えたり、かばったりする生徒がたくさんおり、温かい学級であることが確認できた。

・実施後に学級の雰囲気がよくなるきざしを実感できた。

・ツールがアドラー心理学に基づくものであり、生徒たちや保護者への説得力と、学級をよりよい方向に導く力があると実感した。