発達障害を抱えた子の可能性を伸ばす指導(8)言葉掛けの重要性

明蓬館高等学校校長 日野 公三

私たち明蓬館高校の教職員には生徒への言葉掛けで守っているルールがある。特に、以下の「症候群」は固く使用を禁じている。

「なんで、なぜ」症候群

「なんで〇〇したのだ」「なんで〇〇しなかったのだ」という言い方は、恫喝(どうかつ)口調になりやすい。

「〇〇しちゃ駄目」症候群

「○○しないと駄目」「○○しちゃ駄目」は、話す側が「なぜ駄目なのか」、その理由をよく理解しないままに使うケースがある。対案が出せないときに安易に使うケースも多い。全く伝わらない言葉であり、私たちにとって禁句中の禁句だ。

否定形で終わる言葉を投げ掛けられると、次にとるべき具体的な行動が想定しづらくなり、積極的に取り組もうとする生徒のやる気をそいでしまう。

「きちっと、きちんと、しっかり」症候群

これも安易に口にしがちだ。「具体的にどういうこと?」と聞かれると説明できない部分を曖昧にしているにすぎない。人のためというより、自己満足感が強い言葉である。

こうした「悪い声掛け」をネガティブ・フィードバックといい、他にも「どうせ」「それは無理」「仕方ない」などがある。逆に「良い声掛け」であるポジティブ・フィードバックには「いいねぇ」「一緒にやろう」「さあ、行こう」など肯定的な言葉が並ぶ。

発達障害の子供にとって、言葉掛けはとても重要だ。例えば、文章が読めない子を「サボっている」「勉強をしていない」「予習復習をやっていない」ものと見て、「やる気がないんだろう」と責めるような口調で問い詰めれば、本人は追い込まれてしまう。

読みたいけれど読めない、書きたいけれど思い付かない、思い出せない。生徒が抱えるつらさを理解、共感してあげられなければ、本人は事態を打開するどころか不安ばかりが募り、精神的に追い込まれていくだけだ。

さらに学校現場では、発達障害の生徒の困難さを親の愛情不足やしつけの不行き届きなどと短絡的に結び付けてしまう向きもいまだ多く見られる。実に残念でならない。

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